アラサー、アラフォー……年齢を重ねるほど柔らかくなよやかになる胸のラインに、ため息をつく女性も多いと思います。張りが控えめになったバストをブラに押し込み、ギュッと持ち上げて前を向く。凜々しくはありますが、それだけが“大人のバストのあるべき姿”なのでしょうか。
“寄せて上げる”ではない、身体に添う肌衣を提案するHAVIENA(ハヴィーナ)のブランドディレクター・柴尾陽子さんに、大人のバストと下着選びについて伺いました。
“あるべき姿”には、はめられたくない
柴尾陽子さん(以下、柴尾)「個人的には『“あるべき姿”には、はめられたくないな』と思っています。『体型補正したい』、『ボディコンシャスな服に合わせたい』という時はボディメイクする下着を選べばいいし、リラックスした下着がよければブラトップやノーブラなど、その人が好きな姿でいればいいかなと。
身体も、考え方も、人に『あなたはこうあるべき』って押しつけられたくないじゃないですか。でも、以前“寄せ上げブラ”がブームになったときは、売り場のほとんどがパッド入りのブラで占められてしまって。
『自分は違うものが好きなんだけどな。“これが正解”みたいな、ひとつの答えに従わなくてもいいんじゃないかな?』と、すごく思っていました」
身体は“自分のパートナー”であり魂の入れ物
――自分で選んで“寄せ上げ”にするのはいいけれど、それしか選択肢がないのは切ないですよね。とはいえ、だんだん若さが失われていく胸を見ると、「これをどうやって愛したらいいかわからない」、「寄せて上げて、人様にダルダルだと気づかれないようにしなきゃ」と弱気になるのもわかります(背後で「ニャ~!」と猫が鳴く)。あっ、すみません!!
柴尾「(笑)。たしかに、年齢とともに失ったバストの張りを思うと郷愁めいたものもこみ上げますよね。でも、しかたのないことじゃないですか。やわらかくなったバストも人生の伴侶というか、たとえて言うと、今猫ちゃんがそちらにいますけど、仔猫だったときの愛嬌が失われて、よろよろした大人の猫になったとしても『おばあちゃんになったからみっともない』とは思いませんよね? おばあちゃん猫になったなりの愛しさとか可愛らしさってあると思いますし。
それと同様で、自分の身体のことも大切に思って欲しいと思います。“崩れた”などと言ってしまうのって、なんだか失礼じゃないですか。バストに限らず身体は“自分のパートナー”であり魂の入れ物みたいなものだから、『昔みたいじゃないけど、これもまたいいな』くらいに思える人のほうが、素敵だと思うんです。 大人の女性たちには、ご自身の胸をそんなふうにとらえてほしいなと。若いころと違うからといって、今がダメかというと『そんなことは全然ないよ』と伝えたいです」