「老人ホームは、まだ自分には関係ない」そう思っていても、近い将来あなたのご両親がお世話になるかもしれません。もっと先の未来では、あなた自身がお世話になる可能性も。

東京の老人ホーム事情を知り、来るべき未来に備えておくと、漠然とした不安が解消されるきっかけになります。施設やサービス、価格など気になる情報を集めておいて損はないはずですよ。

東京の老人ホーム事情、地方よりは激戦区になる

(写真=PIXTA)

超高齢化社会の今、高齢者が安心して暮らせる住まいは多様化していて、いろいろな種類があります。

老人ホームは公的な施設と民間が運営する施設に分けられ、施設は入居希望者の介護の度合いに応じて細かく分類されています。

公的な施設のことを介護保険施設と言い、「特別養護老人ホーム」、「老人保健施設」、「介護療養型医療施設」、「認知症高齢者グループホーム」、「特定施設(有料老人ホーム、ケアハウスなど)」があります。
民間が運営する施設には「介護付き有料老人ホーム」、「サービス付き高齢者向け住宅」などがあります。

東京の介護施設状況は、手ごろな価格で待機者の多い特別養護老人ホーム(特養)から、高級志向のサービス付き高齢者向け住宅(サ付き、サ高住)まで選択肢が多く、他の地方より魅力的です。

ただし、人口が集中しているので高齢者の人口も多くなり、人気の施設は常に入居待ち状態です。待機者が多いとされている特別養護老人ホームでは、施設によっては1,000人以上が待機している場合もあり、地方と比べても激戦区と言われています。

入居する人のライフスタイルや好みに合った施設を選ぶためには、情報収集と費用の準備が大切になってきます。アンテナを張っておくことで、「こんなはずじゃなかった」という後悔を防げるはずです。

今回は、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅を例に挙げてご紹介します。

公的な施設、東京の特別養護老人ホーム3例

(写真=PIXTA)

特別養護老人ホーム(以下、特養)は、常時介護が必要で自宅での生活が難しい高齢者が、少ない費用負担で長期入居できる公的な介護施設です。入居一時金や契約金がかかりません。

食事、入浴、排せつなどの日常生活の介助、機能訓練などが受けられます。入居対象は原則、要介護3~5と認定された方になります。

特養の入居費用は介護保険制度によって決まってきます。一例として、要介護3で多床室(相部屋)の場合、介護サービス3割負担で1カ月約7万円程度。さらに生活費や娯楽費、その他の加算金が追加されます。

東京にある特養を3例ご紹介します。

中野友愛ホーム

中野区にある施設。昭和53年に中野区で初めて開設した歴史ある特養です。

4人部屋が31室、1人部屋が1室で、定員は125名。

サンメール尚和

東京都西東京市の施設。冷凍食品を使用せず、手作りの食事で、一人一人の嗜好(しこう)や心身の状況に合わせて提供されています。

4人部屋が7室、2人部屋が37室、1人部屋が4室で、定員は100名。

特別養護老人ホーム 小松原園

東京都八王子市の施設。利用者の尊厳を守り、施設を利用することで喜びと充実感が得られるように運営されています。施設内レクリエーションで風船バレーボール大会をするなど、利用者が楽しめる工夫があるようです。

4人部屋が14室、2人部屋が9室、1人部屋が43室で、定員は117名。

民間の施設、東京の介護付き有料老人ホーム2例

(写真=PIXTA)

介護保険の指定を受け、施設内で介護サービスが提供される施設です。

食事、入浴、排せつなどの日常生活の介助、機能訓練などが受けられます。基本的には要支援1・2または要介護1~5と認定された方が利用できます。

都内の民間の介護付き有料老人ホームを2例紹介します。

ニチイホーム板橋徳丸

板橋区にある92室の全室個室の施設。便利な都市近郊で緑豊かに穏やかな暮らしができます。比較的リーズナブルな施設になります。

費用は、一例として標準プランと月払いプランがあります。 

  • 標準プラン 
    入居金(非課税):980万円 、月額合計(税込):19万9,800円(賃料・管理費・食費) 
  • 月払いプラン 
    入居金:0円 、月額合計(税込):33万5,800円(賃料・管理費・食費) その他に介護保険サービス費、個人に関わる費用(医療費、日用品費、嗜好(しこう)品購入費、理美容費、おむつ代等)や娯楽費がかかります。

    ヒルデモア駒沢公園

    目黒区にある14室の全室個室の施設。夫婦入居もできます。小規模施設ならではの行き届いたケアと家庭的な雰囲気が魅力です。

    原則、満65歳以上で自立・要支援・要介護の方が入居できます。

    費用は、一例として、前払金方式と月払い方式があります。

  • 前払金方式
    前払金(非課税):7,800万円、月額利用料:32万3,030円(税抜)(管理費・食費・基本サービス費)
  • 月払い方式
    前払金:0円、月額利用料:107万3,030円(税抜)(賃料・管理費・食費・基本サービス費)

民間の施設、東京のサービス付き高齢者向け住宅2例

(写真=PIXTA)

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は、バリアフリー構造を有し、ケアの専門家による安否確認や生活相談サービスを提供する施設です。

都内のサ高住を2例ご紹介します。

サンベストビレッジ浮間公園

板橋区にある23室の全室個室の施設。夫婦入居もできます。入居条件は、60歳以上で日常的に医療行為のない方。比較的リーズナブルな施設になります。

費用の一例は、月額合計10万3,600円(賃料・管理費・生活支援基本サービス料金)、入居時15万4,000円になります。

グレイプス用賀

世田谷区にある120室、定員216名の全室個室の施設。夫婦入居ができる部屋が多くあり、全室浴室付のゆとりのある広い住まいになっています。

費用の一例は、月額合計約36万円(賃料・管理費・食費・基本サービス料金)、入居時に約42万円になります。

備えることで不安も減るはず

(写真=PIXTA)

東京の老人ホーム事情を知ると、情報収集と費用の準備の大切さを実感するかもしれません。介護サービスが必要になる前から備えることで、将来の不安を減らしていきたいですね。

文・奥野愉加子(美学のある暮らし代表)

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