ずっと「実力が伴っていない」と思っていた

柚希さん

柚希さん

ずっと劣等感があったんです。

常に自分自身を高めていく原動力を聞くと、柚希さんは意外な言葉を口にした。

柚希さん

柚希さん

子どもの頃は赤面症で、人前で発言するのが苦手なタイプでした。喋らないで済むからダンスが好きだったんです。

でも宝塚に入ってから、歌も芝居もしないといけないことに気付いて……芝居なんて恥ずかしくて全然やりたくありませんでした。

なんてこったと思いましたよ(笑)

柚希さん

柚希さん

徐々に面白さは理解するのですが、私はいつもスタートダッシュが遅かった。

だから、『自分は未熟なんだ』と常に思っていました。

注目される機会が増えても、その謙虚さを手放すことはなかった。

柚希さん

柚希さん

大役を任せてもらえる機会は多かったのですが、実力が伴っていないと言われ続けていましたし、自分でもそう思っていました。

それは、トップになったときも同じ。リーダーを任されるだけの実力がついたとは到底思えなかったので、『いかに成長し続けるか』が毎公演のテーマでした。

【柚希礼音】“カッコいい自分”から、ありのままの自分へ。宝塚トップの6年間で学んだ「いい仕事」の原点
(画像=『Woman type』より引用)

トップスターとなり、場数を踏んでいくと、徐々に納得のいくパフォーマンスができるようになってきた。実力とともに周囲の期待も高まる中、「いい仕事」を継続し続けるためにどんなことを心掛けてきたのだろう。

柚希さん

柚希さん

自分のやり方にある程度心地よさを感じるようになってきてからも、守りには入りませんでした。停滞したくなかったんです。

うまくいった方法でやり続けるのではなく、いつも自分に期待をかけて、どんどん違う自分になっていくようにしていました。

時には演技をガラッと変えて、新境地を切り拓いてきた。その一つが、2013年の雪組公演『ベルサイユのばら─フェルゼン編─』。柚希さんはアンドレ役として特別出演した演目だ。

『ベルサイユのばら』は宝塚歌劇として、長年「型」が重視されてきた。「このままでは動きにも台詞にも本当の血が通ってないのではないか」と感じた柚希さんは、思い切って心情重視の演技を共演者に提案する。

実際にやってみると、柚希さんは相手役のオスカルの気持ちを深く理解し、想いを込めてセリフを発することができたという。

ファンが喜んでくれるのは「一生懸命挑戦する姿」

2015年、柚希さんは6年務めたトップスターの役目を終え、宝塚を退団した。周囲からは「これで肩の荷が降りるね」と言われたが、実際は全くそんなことはなかったそうだ。

【柚希礼音】“カッコいい自分”から、ありのままの自分へ。宝塚トップの6年間で学んだ「いい仕事」の原点
(画像=『Woman type』より引用)
柚希さん

柚希さん

『元宝塚トップ』という肩書きは死ぬまで背負っていくもの。これからもその肩書きとともに行動し、発言していくものなんです。

退団後の重圧は、歴代のトップスター誰もが経験してきた。しかし柚希さんはそれに押しつぶされることなく、今もステージの上で新たな挑戦を続けている。

とりわけ、2018年の舞台『マタ・ハリ』は、退団後の柚希さんのターニングポイントとなった。演じたのは、女スパイ役。男役だった頃の柚希さんから想像がつかなかったのは、本人も同じだ。

柚希さん

柚希さん

もしかするとファンの方は喜ばないのではないかと思ったんです。お腹が出る衣装で露出は多いし、男性との絡みもあるし……。

本番直前まで、『お腹に布貼ったらダメですか?』って周りに聞いていました(笑)

柚希さん

柚希さん

でも、終わった後にファンの方からいただいた手紙を読んで思ったんです。考え過ぎだったなと。

今まではカッコ良くなきゃダメとか、パンツスタイルじゃなきゃダメとか思い込んでいたんですけど、大切なのはそういう細かいことじゃない。

私が一生懸命やりたいことに挑む姿こそが、ファンの方が求めることなんだと気付きました。

ファンの話になると、柚希さんの口調にはあたたかな感情が滲む。

柚希さん

柚希さん

ファンの方とは、心と心のやりとりをさせていただいていると思っています。

私が悩んでいても、『それでいいんだよ、頑張れ』と言ってくれるのがとても心強くて。

ファンの皆さんは、私のことは何でもお見通しなんだと思います。

そうはにかんで笑った。この華やかな笑顔に、どれだけの人が元気をもらってきたのだろう。求められる限り、彼女の成長は止まることを知らない。

かつて“カッコ良さ”を極めたトップスターは今、誰よりも自分らしい姿で「柚希礼音 第二章」の舞台を踏みしめていた。

【柚希礼音】“カッコいい自分”から、ありのままの自分へ。宝塚トップの6年間で学んだ「いい仕事」の原点
(画像=『Woman type』より引用)

<プロフィール>
柚希礼音
1999年初舞台。2009年宝塚歌劇団星組トップスターとなり、6年に渡りトップを務めた。主な主演舞台に『ロミオとジュリエット』『オーシャンズ11』『眠らない男・ナポレオン-愛と栄光の涯(はて)に-』など。2014年には日本武道館での単独コンサートも行うなど、宝塚歌劇100周年を支えるトップスターとして活躍した後、2015年5月同劇団を退団。退団後の作品にミュージカル『プリンス・オブ・ブロードウェイ』『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』『マタ・ハリ』『ボディガード』、第27回読売演劇大賞優秀作品賞を受賞した『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』など。2022年1月~ミュージカル『ボディガード』に出演予定。
Instagram:reonyuzuki_official

作品情報

『REON JACK 4』

【柚希礼音】“カッコいい自分”から、ありのままの自分へ。宝塚トップの6年間で学んだ「いい仕事」の原点
(画像=『Woman type』より引用)

【日時】9月11・12日(東京)、9月18・19日(北九州)、9月23~26日(大阪)
【チケット発売】8月14日(土)10:00~


提供・働く女のワーク&ライフマガジン『Woman type』(長く仕事を続けたい女性に役立つ、キャリア・働き方・生き方の知恵を発信中)

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