「下流老人」になる3つの理由

60歳以上で経済的に苦しくなった人はなぜそうなったのだろうか。それを知った上で現役世代は対策を講じる必要がある。

 (1) 年金額を把握していない

親世代が、年金だけで裕福な老後を送っていたことを知っているので、老後資金を貯める必要がないと考えていたことも理由の一つとしてあげられる。自分は何歳からいくらの公的年金がもらえるのかは理解するべきだろう。日本年金機構の「年金ネット」に登録すれば、いつでもパソコン・スマホから将来の年金額を試算できる。まずは公的年金額の把握をすることが必要だ。

 (2) 40代から住宅ローンを長期で借り入れていて返済に追われている

晩婚化に伴い、住宅の購入時期が遅くなっており、退職金を全て充てても住宅ローンが残るケースもある。他に金融資産がなければ、老後資金は年金のみに頼ることになる危険な状態に陥る。住宅ローンは退職までに完済できるような期間を設定し、その上で月々に返済可能な額の借り入れとすること。身の丈にあった住宅を購入することが重要である。

 (3) 成人の子どもを扶養しなければならない

非正規雇用、引きこもり、ニートなど、30代・40代の低所得者が増えているために、60歳以上の人が、成人した子どもを扶養するケースが増えている。

公的な施策が整うことに期待したいが、子どもが一人立ちできる環境を整えることが、自身の老後の暮らしを守ることに繋がるのだということも肝に銘じておきたい。

公的年金に頼るのは危険自助努力が大事

60代の約3割の人が金融資産ゼロにもかかわらず、貧しいながらも生活ができているのは、年金制度のおかげである。年金制度が壊れることは考えられないが、少子高齢化で年金額が年々下がっていることを考えると、将来の年金額は更に厳しくなっていくことが予想される。

生活保護があるから大丈夫という人も多い。しかし生活保護は、あくまでも自助努力をすることができない方のためのものだ。公的年金のみに頼るのではなく、現役世代から老後の暮らしについて考え、計画的に金融資産を積み立てることが求められている。前述したが、老後資金の積み立てには、節税効果があり、しかも途中解約のハードルが高い「確定拠出年金」「財形貯蓄年金」「個人年金保険」などが適しているだろう。

「上流老人」への近道は?

金融資産と言っても預貯金だけでなく、保険、債券、株式、投資信託、不動産などがあり、それぞれに商品数も数えきれないほどある。お金がかかったとしても、他人の力と時間を使い自分に活かすというのは、限られた人生を生きるためには必要な考え方だ。現役世代から効率的に「自分年金」を確保していくことが、上流老人になるための一番の近道だ。

文・小野みゆき(中高年女性のお金のホームドクター)/ZUU online

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