貯金する意味2. 投資の元手

今や政府が「貯蓄から投資へ」とスローガンを掲げるように、資産を運用して増やしていくことが資産形成において大切な時代となっています。

2017年2月の金融庁の資料「家計金融資産の現状分析」によると、日本の家計金融資産の52%(約900兆円)は現預金となっており、株式・投信投資割合は18.8%に過ぎません。これはアメリカの家計の半分以下(アメリカは45.4%)、イギリスの約半分(イギリスは35.7%)です。

家計の金融資産は1995年から20年間でアメリカは3.11倍、イギリスは2.27倍になっているのに対し、日本は1.47倍。資産を貯金だけに頼っていたのでは資産が増えるスピードが圧倒的に遅いのだと言えます。

資産運用は数千円からでも始められますが、まとまった元手があるのとないのとでは稼げる金額に大きな違いがあります。資産を増やしていくためにも、ある程度は貯蓄しておくことが賢明です。

貯金する意味3. 人生のコントロール力をつける

「貯金ができる派」「貯金ができない派」の大きな違いは、セルフコントロール力にあります。これからの時代、コントロール力があるのとないのとでは人生の充実度合いが大きく異なるのです。

お金を貯めるにはまず、家計簿をつけて家計を把握する必要があります。家計簿をつける際にも甘えを捨てて自分の現実を直視する勇気と覚悟、つまりセルフコントロール力が必要です。

家計簿をつけると自分が何にお金を使いすぎているかが分かるようになります。また、貯金をするためにも、浪費グセがある人は生活のムダを見直さなくてはなりません。生活水準が高い人は、日常生活で工夫する必要があります。

貯金をこれまでしてこなかった人にとっては「工夫」という非常に面倒な作業が求められます。しかし「工夫」という作業は、人生のコントロール力を身に着けるトレーニングになります。

外食が多い人は、安い材料で食事をおいしく作り、楽しく食べるワザを身に着けるようになれるかもしれません。服が好きな人は、自分に似合う服を慎重に吟味するようになるかもしれません。あるいは、古着の活用が上手になったり、自分で服を作ってみたりするようになるかもしれません。

こういったプロセスを踏み、貯金が習慣になると、お金が貯まるだけでなく、生活そのものが貯金する以前より豊かに感じられるようになります。「お金がなければ私は人生を楽しめない」というお金依存的な考えを卒業し、「お金があってもなくても私は人生を楽しむ力がある」と主体的な考え方になれるでしょう。

「貯金」と「主体性」は先行き不透明な時代の必須アイテム

「貯金をする」という行為において得られるのは貯金そのものだけでなく、貯金をするプロセスの中で主体的に自分の人生を生きる姿勢です。

主体的に生きる姿勢があれば、仮に予想外の事態があっても自然と切り抜ける知恵がわいてきます。先行きの読めない時代を生きる世代にとっては、貯金と主体性は必須のアイテムだと言えるでしょう。

文・鈴木 まゆ子(税理士鈴木まゆ子事務所代表)/DAILY ANDS

【こちらの記事もおすすめ】
豊かな老後のためにすべき3つのこと
アラフォー女性のための幸せ貯金計画
お金が貯まる5つのコツ
貯まらない女子「3つの言い訳」対処法
「お金がない時」5つのNG行動