社会人としてある程度の経験を積んだ年代になると、「貯金する派」と「貯金しない派」に分かれます。ある調査で30代、40代の働き盛りの世代の約2割が「貯金ゼロ世帯」であることが分かり、「貯金しない派」にとっては安心材料になったかもしれません。

しかし、本当にそうでしょうか。現代は、稼げる世代こそ貯金はするべきです。あらためて「貯金する意味」について考えてみましょう。

貯金ゼロ世帯が23.1%という統計結果は安心?

SMBCコンシューマーファイナンスが2019年1月、30、40代の男女1,000人に金銭感覚に関するアンケートを行ったところ、「貯金額ゼロ(貯金ができていない)」という回答が全体の23.1%を占めたそうです。ちなみに貯金額が100万円以下の人は60.5%になります。

「同世代の他の人もやっていないんだから私もきっと何とかなる」

そう思った人は貯金の意味をもう少し深く考えてみることをおすすめします。

「貯金ゼロ」の高すぎる代償

大前提として、見通しが暗い老後に備えるために貯金は必要なのです。

まず個人の環境を考えてみましょう。30代や40代は稼ぎ時である一方、65歳以降の定年退職までの折り返し地点に差し掛かります。そろそろ、退職後のマネープランについて考えておかないと、老後破産ということになりかねません。現役を引退すると収入は確実に減るにもかかわらず、支出は医療などで増える可能性すらあるからです。

視野をもう少し広げてみましょう。日本は1,000兆円という世界最大の累積債務国です。財政破綻のリスクや少子高齢化を考えた場合、年金支給額が減り、医療費の自己負担の割合が上がっていくことは十分にあり得るでしょう。

さらに「貯金ゼロ円が2割前後」であることを加味すると、今の現役世代が老後を迎える頃には、高齢者の貧困や破産はより当たり前のものとして浸透しているかもしれません。

老後の備えだけじゃない!貯金をすべき3つの意味

(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

「見通しが暗い老後に備えるために貯金は必要だ」とすでにお伝えしましたが、貯金には老後の備えだけでない、3つの意味があります。

貯金する意味1. 突発的な不測の事態に備える

突然病気にかかって医療費がかさむ、あるいは仕事をセーブする必要が出て生活費が必要になる、親の介護が始まるなど、老後になる前もリスクは存在します。育児においては、教育の内容次第でかかるコストが大きく変わります。

例えば、公立の小学校を選べば32万円程度で済みますが、私立の小学校を選べば153万円ほどかかります。仮に結婚・妊娠・出産・育児がないとしても、事故や病気で仕事ができなくなり、収入が途絶えるリスクは誰もが抱えているのです。

こういった現役時代のリスクの備えとして保険をまず思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、保険は加入に条件があり、誰もが活用できるわけではありません。さらに、保険が下りるには要件を満たす必要がありますし、たとえ要件を満たしていたとしても現金が手元に届くまでには日数がかかります。

貯金の良い点はいつでも使えることにあります。現役時代の不測の事態に柔軟に対処するという点では、貯金が一番。最低でも月収6ヵ月分の現金は手元に残しておくとよいでしょう。