エリート人材は代替服務も可能

現役・補充役の中でも専門知識や技術を持つ者は、兵務庁指定の業種で国家産業の育成と発展のために研究・生産・製造などに従事することもあります。これを「代替服務」といい、「専門研究要員」「産業技能要員」などがあります。所属により異なりますが、多くの代替服務の期間は36ヶ月と一般服務より長めです。

また、学生の場合は「学軍士官候補生(ROTC、通称学軍団)」という代替服務があります。4年制大学在学者で3学年に進級決定の者(満20~27歳まで)の中から成績優秀な者が選抜され、専用の制服を着用して大学に通いながら夏休みや冬休みの期間に集中軍事訓練を受けます。さまざまな点で優待されますが、卒業とともに将校として28ヶ月の軍服務が義務付けられています。

兵役未了者は海外渡航が制限される

兵役義務を終了していない韓国男性は、実は海外旅行も制限されます。満25歳以上の兵役未了者は海外渡航時に兵務庁の許可が必要になります。

たとえば1~4級判定を受けた者なら、留学は大学院生のみ26~28歳まで、短期旅行は27~28歳まで1回6ヶ月以内、合わせて2年以内、研修・訓練は27~28歳まで2年以内で、規定の範囲内で一部延長なども可能、と厳しく統制されています。

服務形態と服務期間

兵役服務形態は多種多様ですが、代表的な形態は下記の通りです。服務期間も原則は下記のようになりますが、服務中の心身障害など健康状態によっては早期に除隊することもあります。

服務形態 服務期間
現役 陸軍/海兵隊 18ヶ月
現役 海軍 20ヶ月
現役 空軍 21ヶ月
現役 常勤予備役 18ヶ月
現役 代替服務(専門研究要員) 36ヶ月
現役 代替服務(産業技能要員) 34ヶ月
現役 代替服務(学軍士官候補生、ROTC) 24ヶ月 +義務服務28ヶ月(陸軍)、24ヶ月(海軍、海兵隊)、36ヶ月(空軍)
現役 (転換服務要員) 義務警察 18ヶ月
現役 (転換服務要員) 義務警察(海洋)、義務消防員 20ヶ月
補充役 社会服務要員 21ヶ月
補充役 芸術体育要員 34ヶ月
補充役 専門研究要員 36ヶ月
補充役 産業技能要員 23ヶ月

短縮化する服務期間

約1年半の兵役服務期間は、一般的に考えると「長い」と感じますが、下のグラフを見ると短縮化していることがわかります。1968年に大幅に延長されましたが、これは軍事政権下で大統領官邸が北朝鮮ゲリラに襲撃された青瓦台(チョンワデ)襲撃未遂事件(1.21事態)の影響を受けてのことです。その後、1987年の民主化宣言以降は年々短縮傾向にあります。

徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

2018年に、国防部から「服務期間短縮」が発表され、2020年の入隊者から表の通り、適用されました。2018年10月1日除隊者(=2017年1月3日入隊者)より、入隊日を基に2週単位で2日ずつ短縮され、最終的に服務期間が3ヶ月(空軍は2ヶ月)短縮されます。

短縮された服務期間は、2020年6月16日の陸軍/海兵隊/常勤予備役/義務警察の入隊者より18ヶ月服務、2020年4月16日の海軍入隊者より20ヶ月服務、2019年1月21日空軍入隊者より22ヶ月服務と適用されます。

服務の流れ

軍隊生活のスタート「基礎軍事訓練」

徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)
徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

検査と判定を受けたすべての兵役義務者は、正式に配属される前に新兵訓練所で基礎軍事訓練を受けます。芸能人入隊のニュースでよく報道される「○○訓練所入所」というのはこのこと。

訓練期間は陸軍:5週間、海軍:4週間、空軍:4週間、海兵隊:5週間で、陸軍は配属先によっては3週間の訓練が追加されます。