韓国男性に課される国防の義務「兵役」

徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

朝鮮戦争(1950-1953)により、南北分断という悲劇がもたらされた朝鮮半島。地上に残された最後の冷戦地帯として、今もなお南北が対峙する現実が続いています。こうした背景もあり、すべての韓国の成人男性には、一定期間軍隊に所属し国防の義務を遂行する「兵役」義務が課せられています。

実際の軍隊服務期間を「現役」または「補充役」、除隊後の8年間を「予備役(予備軍)」、それから満40歳までを「民防衛(民防衛隊)」と言い、20歳で入隊した場合約20年間の服務義務を全うするのが、韓国の徴兵制度です。

入隊前の徴兵検査と判定

徴兵検査

徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

韓国の男性は、満18歳で徴兵検査対象者となり、19歳になる年に兵役判定の検査を受けます。検査日や検査場所は、本人が選択可能です。

検査は、心理検査→身体検査→適性分類→兵役処分判定の4段階に渡って精密に行なわれ、医師の診断、経歴や資格などを生かせる適性検査(筆記)をもとに判定結果が出ます。

判定区分・対象者・服務形態などの詳細

判定が1~3級の者は「現役(現役兵)」、4級は「補充役(社会服務要員(旧・公益勤務要員))」、5級は「戦時勤労役(有事時出動)」、6級は「兵役免除者」、7級は「再検査対象者」となります。

1~4級判定者は、満20歳~28歳の誕生日を迎える前までに入隊しなくてはなりません。なお、2018年の兵役法改正によって兵役延期の基準が厳しくなりましたが、各種高校、2年制・4年制大学、大学院、師範研修院の在学者、一部大学浪人生などの条件により入隊時期を延期することもでき、条件によってその制限年齢が異なります。

区分 対象 詳細
現役 (1~3級) ○検査の結果、下記の身体基準を満たした者 1級:身長が161~203cmで、BMI指数が20~24.9の者 2級:身長が161~203cmで、BMI指数が18.5~19.9または25~29.9の者 3級: 身長が159~160cmで、BMI指数が17~32.9の者。身長が161~203cmで、BMI指数が17~18.4または30~32.9の者 ○徴兵による現役兵として入営 ○一部陸軍、海軍、空軍、陸軍海兵隊、一部転換服務要員は、志願者から選抜 ○常勤予備役(自宅通勤)は、兵務庁が選抜(妻子のいる既婚者は志願も可能) ○月給459,100~608,500ウォン(二等兵~兵長)
補充役・社会服務要員(民間人) (4級) ○検査の結果、医学的に現役の服務が不可能と判定された者 ○父母・兄弟に戦没・殉職・服務不可能な戦傷・公傷を負った軍警・軍人がいる者 ○一部実刑宣告者・受刑者・執行猶予者 ○身長が146~158cmまたは204cm以上の者で、BMI指数が14~49.9の者。または身長159~203cmの者で、BMI指数14~16.9、33~49.9の者 ○公的機関の公益目的遂行に必要な社会福祉、保健・医療、教育・文化、環境・安全など社会サービス業務・行政業務の支援に関する服務(自宅通勤:平日9~18時、土曜日9~13時、日曜休※業務形態により例外あり) ○芸術・体育の育成に関する服務 ○月給は現役と同様(交通費・食費別途支給)
戦時勤労役 (5級) ○外国国籍取得者 ○外見上混血であることが明確な者(1991年12月31日以前出生者のみ該当) ○孤児 ○性転換者 ○一部実刑宣告者 ○BMI指数に関わらず、身長が141~145cmの者。身長が146cm以上で、BMI指数14未満または50以上の者 有事時出動
免除 (6級) ○現役・補充役の服務が不可能なほどの疾病・心身障害を持つ者 ○脱北者 ○体重に関わらず、身長が140cm以下の者
再検査対象者 (7級) ○疾病の治療中などで再検査が必要な者

※2021年2月の情報です。 ※「現役」に区分されていた陸軍の「国防広報支援隊(芸能兵士)」は2013年8月1日から廃止されました。 ※学力による兵役判定基準は2021年2月から廃止されました。

入隊にまつわるエピソード

友人・同僚と一緒に入隊できる「同伴入隊制度」

徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

2003年から施行された、同伴入隊服務制度。検査で現役判定が出た場合、親しい友人や同僚と2人で同時に入隊し、同じ配属先で除隊まで服務できる制度です。

精神的な助けになるため入隊後の軍生活への適応力が向上し、ひいては軍気の向上にもつながると考えられています。

あのスターも?!特殊部隊への入隊はステイタス

陸軍海兵隊 陸軍海兵隊 訓練の辛さや優秀な入隊者のスカウトなど、入隊すると称賛される特殊部隊があります。

徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

陸軍では、「海兵隊」が軍隊の中でも上下関係が特に厳しく訓練が過酷なことから、そのステイタスは韓国国内で一目置かれているほど。また海兵隊出身者同士の絆は、たとえ訓練時期が異なろうとも同じように強いものがあります。

海兵隊出身として有名な芸能人ではヒョンビン、ユン・シユンなどがおり、最近では楽童ミュージシャンのイ・チャンヒョク、SHINee(シャイニー)のミンホなど、海兵隊に志願入隊する芸能人が増えていることでも話題を呼んでいます。

徴兵制~韓国の軍隊制度
(画像=『韓国旅行コネスト』より引用)

また、いわゆるブラックベレーと呼ばれる「特殊戦司令部(通称、特戦司)」も陸軍の特殊部隊。主に将校クラスの職業軍人で構成されますが、優秀な現役兵がスカウトされることもあるようです。芸能人の入隊者では、イ・スンギが有名です。

その他、空軍ではいわゆるレッドベレーと呼ばれる空挺統制士(CCT)が代表的な特殊部隊です。