出産費、出産手当金、育児休業手当金

産前産後から育休期間にかけて公務員が受けられる経済援助は、次のようなものです。

【出産費・家族出産費】
本人や家族が出産したときに支給されるお金。産科医療保障制度に加入している病院などで出産した場合は42万円、非加入の機関で出産した場合は39万円が支給される。

【出産手当金】
出産のために勤務できず、有給の産前・産後休暇を取得しなかった場合に支給されるお金。出産の42日前から出産の後56日まで受給でき、金額は(標準報酬日額)×2/3×(支給日数)。

【育児休業手当金】
育児休業を取得中に支給されるお金。期間は子供が1歳に達する日まで、配偶者が育児休業をしている場合は1歳2カ月まで、保育所に入所できない場合などは1歳6カ月まで受給可能。額は、180日までは(標準報酬日額)×67%、それ以降は(標準報酬日額)×50%。

公務員は子育てしやすい?

(写真=takayuki/Shutterstock.com)

公務員と民間企業の育休取得率の違いは?

公務員と民間企業の育休制度、主な違いは次の2点です。

① 公務員の方が長期の育休を保証されている。
② 男性公務員の育休制度が手厚い。

その効果は、公務員と民間企業の育休取得率の差に表れていると言えそうです。

2017年の常勤公務員の育休取得率は、男性18.1%、女性99.7%。非常勤職員では、男性43.8%、女性100%に上ります(人事院『仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査』2017年)。

同じく2017年の民間企業での取得率は男性5.14%、女性83.2%、有期契約労働者で男性5.69%、女性70.7%ですから(厚生労働省『平成29年度雇用均等基本調査』2017年)、公務員の取得率の高さが分かります。

育休期間の状況を見ると、男性は「1カ月以下」が71.3%、女性では「12カ月以上24カ月以下」が31.9%でもっとも多くなっています。

公務員の男性育休の特徴

男性公務員で顕著なのは、配偶者出産休暇と育児参加のための休暇の取得率の高さです。常勤職員で、配偶者出産休暇の取得率は82.2%、育児参加のための休暇の取得率は77.6%。両方合わせて5日以上取得した職員は、65.0%に上ります(人事院『仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査』2017年)。

これら配偶者の産前・産後期間中における男性職員の休暇は、育児の分担をすることで配偶者の負担を軽減する効果があります。さらに、これをきっかけに育児への意識を高め、効率的な働き方への意欲を向上させるものとして、重要視されているのです(人事院事務総局職員福祉局長『仕事と育児・介護の両立支援制度の活用に関する指針について(通知)』2018年3月30日)。

公務員の育休制度・両立支援は「まず隗より始めよ」

(写真=takayuki/Shutterstock.com)

公務員の人事管理において両立支援を整備する目的は、「少子高齢化の進む中、誰もが活躍できる社会を実現する」というところにあります。そのために、男女問わず働きやすい職場環境を整え、子育てがキャリア形成において不利にならない人事管理を目指しているのです。

自分の職場環境があまり整っていないとき、公務員ばかり優遇されている……とモヤモヤを感じることもあるかもしれません。ですが一歩引いて、公務員すら実践できない国の制度を民間企業に浸透させることが果たしてできるのか?ということを考えてみる必要があるでしょう。

子供を生み育てながら同時に働きやすい社会の実現は、日本ではまだ達成途上。すべての父親・母親が働きやすい日本を、あらゆる方面からじわじわと作っていきましょう!

文・菊池とおこ/DAILY ANDS

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