この春、就職や転勤、進学などで引っ越しを予定している人も多いのではないでしょうか。賃貸住宅を退去するとき、しばしばトラブルになるのが「敷金」です。以前は「いろいろ引かれて、結局ほとんど戻ってこなかった」という人が大半でした。しかし近年、その常識が変化しつつあるようです。

「敷金は戻ってこない」と思っていませんか?

敷金は、賃貸住宅を借りるとき、入居者が家主に支払うお金。家賃の滞納などのリスクに備えるためのもので、退去時まで家主が「預かる」ことになっています。

しかし、実際は退去時に「原状回復費」の名目で諸費用が差し引かれ、「戻ってこない」のが半ば常識となっていました。これに対し、近年、入居者が敷金の返還を求めて家主を訴えるなど、敷金をめぐるトラブルが増加。その「常識」が変化してきています。

国土交通省の「ガイドライン」をチェックしよう!

敷金トラブル解決の指針となっているのが、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です。それによると、入居者の原状回復義務とは「借りた当時の状態に戻すことではない」と明言されています。通常の住まい方で発生した損耗(軽度な汚れやキズ)や経年変化の修繕費用は、すでに家賃に含まれていると判断されるため、クロスの張り替えなど「建物価値を増大させる」ための費用は家主側の負担とされています。

つまり、入居者の過失で発生した損耗以外は負担義務がなく、敷金から差し引くのはルール違反と言えるのです。