子供を作るために結婚したのだろうか

女性の加齢も一律の要因ではないし、男性側の要因も50%ある。ですので、子供が欲しくて不妊治療を始めるなら、夫婦一緒に検査をするところから始めなければ意味がありません。不妊治療は、夫婦のどちらも当事者です。「どちらに責任があるか」の追及に入ってしまうと、先に進めなくなってしまいます。子供ができないことについて、夫婦で責め合いたいわけではないでしょう。

筆者が自治体の結婚支援事業を担当していた時、相談に訪れるのは40代以降の男性が多かったのですが、多くの方が「子供が欲しいので若い女性と結婚したい」と言いました。

男性不妊の話はかなりデリケートな話題のため、そんな時は「子供というのはどうしてもできないこともある。むしろこれからの人生を、妻となる人と二人で楽しく過ごす方向に切り替えてもいいんじゃないですか」ということを伝えました。そうした視点を持った男性は、パートナーとなる女性に出会いやすかったように思います。

子供ができず不妊治療を考える時、同様に「子供のいない人生」「パートナーと過ごす後半の人生」にも目を向けてみること。私たちには、それも必要なのではないでしょうか。

妊活もステージの進んだ不妊治療も、義務でも強制でもありません。すべて自分たちで決めることです。自然に任せるのか、なるべく無理せずできる範囲でやるか、可能な限りがんばりたいのか。期間を決めるのか、費用の上限目安を決めるのか。ぜひ普段から、子供や妊活、不妊治療について、この先の人生について、夫婦の話題に乗せてください。

人生がどの方向に進んでも、私たちは豊かに生きられる

(写真=RossHelen/Shutterstock.com)
不妊治療の技術が進み経済的な問題が解決しても、やはり妊娠・出産は、コントロールしきれるものではありません。そもそも自分の人生、完全制御システムを搭載している人はいないでしょう。

筆者も子供が欲しかったです。結婚願望があまりなく晩婚だったくせに、なんとなく子供は生むものだと思っていました。妊活の渦中にあった時はつらかったですが、子供がなく離婚した今では、甥っ子姪っ子と楽しく独身の叔母ポジションを満喫しています(朝ドラ『とと姉ちゃん』の向井理のような「遊び人の独身叔父」的気持ちになる時もあります)。

不妊治療の着地点は、自分で決めればいいことです。とことんまでやり切ってもいいし、入り口で引き返してもいい。結果として子供を持つことができたら最高の喜びでしょう。でも、子供のいない人生もまた豊かなものだと、筆者は今、穏やかに思いますよ。

文・菊池とおこ/DAILY ANDS

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