海外赴任中に病気になったらどうする?
厚生年金や共済年金の加入者は健康保険の被保険者となり、一時帰国時など日本で保険医療を受けることができる。赴任先では、駐在員保険、赴任地の医療保険、海外療養費の3つのうち、1つまたは複合で利用する。国民年金の任意加入者は、海外療養費はない。
駐在員保険は、損害保険会社の長期海外旅行保険で、携行品が生活用動産になり、傷害死亡、傷害後遺障害、治療救援、疾病死亡等がセットになっている。保険会社の指定病院では、キャッシュレスで診療を受けられ、自己負担は原則的にない。
現地法人等が負担する給与がある人は、赴任先の医療保険に加入する。駐在員保険の加入者は加入を免除される国もある。
海外療養費は、日本の健康保険加入者が海外の医療機関で診療等を受けた際に医療費の払い戻しを受けられる制度だ。
日本の保険診療機関で医療行為を受けた際の医療費を基に計算され、健康保険の自己負担相当額と他の保険から受給を受けた額を差し引いて支給される。駐在員保険や多くの国で保険対象外となっている歯科診療などで利用するケースが多い。
所得税と法人税はどうなる?
2016年12月現在、日本は107カ国・地域と租税条約を締結し、国内法に優先する。
条約締結国への赴任者の所得税は、一般にすべての国で受け取った収入にかかる税金を居住国に納めるのが原則だが、日本で支給された報酬に相応する税金は日本の源泉をもって完結できる条約もある。住所の有無などに関わらず、いわゆる183日基準で1年の過半を過ごす国の居住者となる。海外赴任者は通常は赴任国の居住者となり、日本では非居住者として扱われる。
住民税は1月1日時点での居住者が課税対象だが、住民登録の有無が基準になることが多い。海外居住が1年以内の場合は住民登録の有無に関わらず課税対象となる。
日本人学校と家族の収入
2014年10月現在、51カ国・地域に90の日本人学校がある。
日本人学校は原則的には小学校と中学校で、日本各地の教育委員会から派遣された教員が文部科学省のカリキュラムに則って授業を行い、日本の義務教育課程を履修したものとして扱われる。在外日本人学校は中学校までのため、高校生がいる家庭は単身赴任が多くなる。
赴任者は就労査証を取得するが、帯同する配偶者などは就労査証がなく、アルバイトやパートなどで収入を得ることはできない。借り上げ社宅は家賃等の負担はないが、家族帯同で赴任する場合、赴任者の収入のみで生計を維持することを踏まえた生活設計が求められる。
文・佐々木和義(韓国在住CFP(R))/ZUU online
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