年収を今よりも上げたい……ビジネスパーソンであれば誰しも考えることでしょう。年収を上げるパターンは、決して多いとは言えません。今回はその年収を上げる5つの方法を紹介していきます。さらに昨今では働き方改革の影響により副業・兼業やフリーランスなど、従来とは異なる働き方をする人も増加傾向です。そのため「フリーランスで年収1,000万円」という人も決して珍しくありません。そんな時代の流れも踏まえながら、年収アップに必要となる考え方もあわせて解説していきます。

日本は年収が上がりづらくなっている?日本企業の給料事情

年齢を重ねればおのずと給料も上がっていく……そんな従来の雇用システムが機能不全に陥りつつあるのをご存じでしょうか。日本企業は、昭和時代に当たり前だった年功序列や終身雇用が徐々に減っています。まずはマクロな視点で日本企業の給料事情を確認しておきましょう。

平均給与は20年で20万円以上も下がった

国税庁の「民間給与実態統計調査」によると1997年の平均給与は467万円でした。しかしそれ以降、下落傾向となり2018年では441万円にまで落ち込んでいます。つまり日本の平均給料は約20年で26万円下がったということです。先進国で給与がここまで下がっているのは日本くらいで、主要国の多くはこの20年で賃金水準を上昇させています。

全国労働組合総連合(全労連)が発表しているデータによると1997年を100としたとき2016年の各国の実質賃金指数は以下の通りです。

国名 2016年度実質賃金指数(1997年=100)
スウェーデン 138.4
オーストラリア 131.8
フランス 126.4
イギリス(製造業) 125.3
ドイツ 116.3
アメリカ 115.3
日本 89.7

国際比較をしても日本の賃金事情は芳しくなく一人負けの状態が続いています。

人口減で今後もこの傾向が続く

2019年6月に内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が公表した「地方創生の課題と展望」によると、日本の人口は2010年の1億2,806万人がピークとなっています。2100年には人口が中位推計で約4,959万人まで落ち込む予想です。労働人口が増えなければ当然GDPも下がります。労働生産性を大幅に改善しない限り、今後も賃金の下落が続いていく可能性が高いでしょう。

同じ会社に勤務し続けても望む生涯年収が得られない場合も

年功序列システムが機能していた時代では、毎年昇給し年収が堅調に上がっていくことが期待できました。一定の年次を重ねれば多くの会社員が役職に就けた時代です。しかし今後は状況が変わります。同じ会社に勤務し続けた場合でも必ず給料が自動的に上がるとは言えません。年収を本気で上げたい場合は、日本の現状や自分の会社の状況などをよく理解したうえでキャリアプランを考えることが必要です。

年収を上げる主な方法は5つある

収入を上げる方法は決して多いとは言えません。しかし選択肢は以下のように主に5つあります。

1.出世
2.転職
3.副業
4.独立
5.不労所得

考え方としては「今あるものを伸ばす」「新たな収入源を確立する」「お金に働かせる」の3つです。出世や転職は、今のスキルやキャリアを活かして年収を上げていきます。現在の仕事で経験を積んで、さらなる飛躍を目指すことが期待できるでしょう。高給が期待できる業界や会社に転職できれば手っ取り早く年収を上げることができます。

副業や独立は、新たな収入源に分類されます。最近では副業(複業)を認める会社も増えています。例えば、アサヒビール株式会社、株式会社サイバーエージェント、ヤフー株式会社、富士通株式会社といった一般的に給与水準の高い大企業も副業OKとしている傾向です。

不労所得としては、不動産の家賃収入や株式の配当などが該当します。まとまった資産を運用したりレバレッジを活かした不動産投資を行ったりするなどして、「お金をふやしていく」という発想です。

働き方が多様な時代では一つのことに固執しない

給料は上がりにくくなっているため、副業解禁の企業も増え「働き方は人それぞれ」という時代の到来を考えておくことが必要です。年収を上げるための方法のうち「自分はどの方法を活用するのか」について考えながらキャリアプランを練りましょう。ただし一つのことに固執しすぎず、自分の軸を持ちつつ柔軟に対応することも大切です。

ネットの普及で働き方は多様化しコロナ禍がそれに拍車をかける

ネットの普及に伴い私たちの生活は大きく変わり、2000年代前半に大容量でのデータ通信が定額で利用可能になったことで多くの人がネットに親しみ始めました。2007年6月には米国でネット時代の到来を決定づける「初代iPhone」が発売されます。スマートフォンの普及に伴いパソコンに匹敵するスペックの小型の端末が手軽に持ち運べるようになりました。

ガラケーに代わりネット・音楽・動画がいつでもどこでも利用できるようになり、パソコンになじみが薄かった人たちもネットに親しむようになったのです。また通信環境も整備され、街中でもWi-Fiが利用できるようになっています。「リモートワーク」に代表される場所に縛られない働き方も一般的になりつつあると言えるでしょう。

さらに最近では新型コロナウイルスの感染拡大が「リモートワーク」の普及に拍車をかけています。Web会議は定着し、時差出勤やオンライン営業を導入する企業も珍しくありません。

時代の流れを読み、自分を高める働き方を

「年収を上げたい」と思っている場合は、時代の流れをよく理解しておくことが大切です。また自分の「労働者としての価値を高めるためにはどうしたらいいのか」について本気で考えてみましょう。現職を続けることで「自分の市場価値が上がる(収入が上がる)見込みがあるのか」を検討し、見込みがない場合は別の道を探る必要があります。

あなたの年収を上げるかも?!6つの新たな働き方

近年注目を集めている「新たな働き方」を6つ紹介します。もちろん、これらの働き方をすれば必ず年収アップになるわけではありません。ただ働き方の自由度が高まれば自分の実力を発揮しやすくなり、結果として年収が上がる可能性もあります。例えばリモートワークをすることで可処分時間(自由に使える時間)が増え、スキルアップのための勉強や副業にも取り組みやすくなることが期待できるでしょう。

また社内ベンチャーで成功すれば独立して結果年収アップにつながる可能性もあります。さらにワーケーションで物価の安い国で仕事ができれば、生活費が抑えられ収入アップと同じような効果が期待できるかもしれません。このように新しい働き方で重要なことは、自由な発想で自身のキャリア形成を考えることではないでしょうか。そういった目線で6つの新たな働き方を確認していきましょう。

1.リモートワーク(テレワーク、在宅勤務)
2.パラレルワーク
3.社内ベンチャー
4.社内副業
5.ギグエコノミー
6.ワーケーション

1.リモートワーク(テレワーク、在宅勤務)

リモートワークは「テレワーク」「在宅勤務」などとも呼ばれ、オフィス以外の場所で仕事をするワークスタイルです。リモートワークは新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令により自宅待機を余儀なくされたことで普及しました。通勤時間を短縮できたり理想的なワークライフバランスを実現しやすかったりするなどたくさんのメリットがあります。

2020年5~6月に株式会社パーソル総合研究所が行った「第三回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、2020年5月の段階でテレワークをしていると答えた割合は25.7%でした。2020年4月の27.9%と比較して実施率が若干伸び悩んでいるものの約4人に1人の割合でテレワークを行っています。

2.パラレルワーク

パラレルワークとは、複数の仕事を同時に進める働き方です。パラレル(parallel)は「平行」という意味。副業(複業)と違う点は「本業を2つ以上持つ意味合いが強くなる」ということです。例えば2つの会社に所属したり株式会社とNPOに所属したりするなどがパラレルワークに該当します。このような本業1本の「直線型」ではなく複数の仕事を同時に進める「横断型」の働き方は、今後より一層増えていくでしょう。

3.社内ベンチャー

「社内ベンチャー」とは、企業内で新しいアイデアや事業を創出するための仕組みです。新規事業を開発するために立ち上げられることが多く、社内ベンチャーの担当者は「社内起業家」などと呼ばれることもあります。通常のベンチャー企業とは異なり会社本体が出資者となるため、資金や人材を確保しやすいのが特徴です。

企業にとっても新たなビジネスチャンスを見いだすことができ、さらには優秀な人材育成の機会にもなります。もし将来的に起業したい場合は、社内ベンチャーを一つのステップとして考えるのもいいかもしれません。

4.社内副業

社内副業とは、所属する事業部や部署に籍を置きつつも異なる事業部や部署の新しい業務を引き受ける働き方です。例えば、将来に向けてマーケティングも勉強したい営業部署の社員が実際に勤務時間の一部をマーケティング部署での仕事に充当します。

具体例を挙げると、2018年に丸紅株式会社は全従業員を対象に、勤務時間の15%を社内副業に取り組むよう義務付ける仕組みをスタートしました。2019年10月に株式会社サイバーエージェント、2020年6月KDDI株式会社など社内副業制度を実施する企業も増加傾向です。

5.ギグエコノミー

「ギグエコノミー」とは、単発の仕事を請け負うワークスタイルです。ジャンルが異なるミュージシャン同士が一晩限りの契約でライブ演奏に参加することを「ギグ」と呼びます。それが転じて単発の仕事をする働き方をギグワークと呼ぶようになりました。デリバリーサービスの「Uber Eats(ウーバーイーツ)」はまさしくギグエコノミーです。

スマホを使えばいつでも仕事を探せるため、スキマ時間を活用できるのがメリットです。休日などを利用し単発の仕事を請け負って副収入を得ることも期待できます。

6.ワーケーション

ワーケーションとは、「ワーク」と「バケーション」を掛け合わせた造語です。2020年7月には観光戦略実行推進会議の中で「ワーケーション促進」についても議論されました。ワーケーションは、休暇を楽しみながら働くことを意味しており、リモートワークにも近いワークスタイルです。実際にワーケーションをしている人の数は少ないものの「月〇万円で多拠点住み放題」といった住宅のサブスクリプションも登場しています。

これは全国にある住宅に定額で住むことができ、住み替えもできるサービスです。さまざまなサービスが普及することでワーケーションに近い働き方も実現するかもしれません。

年収を上げるためには柔軟なキャリア形成が大切

「出世」「転職」「独立」など、どの場合でも年収を上げるために一番大切なのは自分自身の「ビジネスパーソンとしての市場価値」を上げることです。「磨いたスキルを最大限活かせる場はどこなのか」「どういった働き方をすれば年収を最大化できるのか」といった視点で自身のキャリアを考えてみましょう。

一つのアイデアに固執せず柔軟な発想でキャリア形成をイメージしておくといいでしょう。自分のやりたいことに近づくことができれば、おのずと仕事のやりがいも感じられるようになるはずです。

提供・UpU

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