第一のリスクは、3兆6000億円が物語る中途解約

例えば、元本保証商品の一つ「個人年金保険」で見てみよう。2016年度生命保険の動向(生命保険協会より)によると、個人年金保険の解約・失効率は対年度始保有契約高4.1%で、額にして3兆6360億円。

解約の全てが元本割れをしたとは言い切れないが、保険は満期や払込満了日前に、中途解約をすると、戻ってくる返戻金は、払込保険料を下回るのがそのほとんどだ。契約当初とは違う外的要因や各事情で、元本を下回る時期であっても、解約をせざるを得ない事は珍しくない。

第二のリスクは、まさかの破綻

銀行は潰れない……そんな神話は1997年の北海道拓殖銀行に始まる数々の銀行破綻で、とうに崩れた過去がある。

銀行が破綻した場合の預金者保護制度は、ご存知「預金保険制度(ペイオフ)」で、1金融機関あたり1人1000万円とその利息までが保護対象。それ以上の預金額は、保護されない事もありえる。

当座預金や決済用口座は全額保護されるが、一般口座では先の通り。元本保証商品の代表選手である「銀行預金」でも、リスクはあるのだ。

第三のリスクは、コーヒーの値段から学ぶインフレリスク

筆者は大のコーヒー好きで、1日に3杯は欠かせないのだが、喫茶店でコーヒーを注文すると今は約450円ぐらいだろうか。

物価というのは不思議なもので、いまその価格である事が「当たり前」という感覚を無意識に持ってしまっているものだが、わずか15年前の価格は、コーヒー1杯270円だったのである。比べて1.6倍。

遡る事55年前は1杯5円と、90倍も値段が上昇している。

ここまでくればもうおわかりお分かりだろう。第三のリスクはインフレである。デフレの再来も予想される今日において、インフレの話をするのは、現実味を感じられないかもしれない。しかしながら、戦後の高度経済成長期の再来はないにしろ、わずかながらもこの15年間デフレ時代を挟みながらでも物価は上昇している。

「今後10~20年間で、インフレ率が必ずしも、銀行預金金利を上回る」と言っているのではない。「実質の元本は目減りするので、損はしないという構造は成り立たない」という事だ。

文・佐々木 愛子(ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅱ種)/ZUU online

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