ステップファミリーが離陸するために①:子供との向き合い方
では、今度は再婚を考える親の立場から、再婚し新たな家庭を作っていく際、どんなことに留意したらいいかを見ていきましょう。まずは前出の『ママまた離婚するの⁉』から、子供とどう向き合っていくかについて、筆者が重要だと感じたポイントを紹介していきたいと思います。
子供の声を聞く、子供の判断を尊重する
当事者である子供の声を聞く。簡単なようでいて具体的に実行に移そうとすると迷ってしまう点だと思います。それは何よりも、親の価値観や判断を子供に押し付けないことなのだと理解しました。
例えば、新川さんは離婚原因を尋ねられたとき、事実を伝えることは大事だけれども相手へのネガティブな感情をあらわにしないでと訴えます。また、同居親が「別居親と子供を会わせるのは子供によってよくないことなのでは」と悩むとき、新川さんはこれも子供に判断させてほしいと言います。
子供はいずれ親のことを自分で判断するようになるのです。子供は親が思う以上に親の言動を観察している。そして自分の目で見て自分で判断して初めて、親の離婚を受け入れていくのだと言います。ひょっとすると子供自身の判断を尊重するということは、何にもまして、親自身に突き付けられる最も厳しい評価を受け止めるということなのかもしれません。
子供が安心して自分の気持ちを表現できるような環境を
子供の気持ちを聞く、尊重するためには、子供が安心してオープンに話ができる環境を作ること。そこで重要なのが、「タブーの話題を作らない」こと、そして「子供らしく振舞える場を作る」ことです。
離婚した別居親の話題をタブーにしないこと。子供に過剰な強さを求めないこと。大人になることを求めないこと。子供の頑張りを認めて褒めること。新川さんは親へのアドバイスとして、形を変えて繰り返し語ります。
おそらく離婚家庭の子供には、本人も周りも、一足飛びに大人になることを求めてしまうのでしょう。けれどそれは本来、子供がする必要のない頑張りなのです。
再び喪失を味わわせないように
最後に、再婚家庭にとって最も大事なこと。それは、「子供に何度も喪失を味わわせない」ということです。継父との別れを二度経験した新川さんの「子供とかかわると決めたら墓場まで」という言葉には重みがあります。
継親との別れは、子供に二重の傷つきを与えます。1つは、子供は親の決断を受け入れてさまざまな葛藤を飲み込んだのにそれが無になってしまうこと。もう1つは、親には自分が必要ではなかった、どうせ親はいつも自分から去っていく、という喪失感を何度もはっきりと心に刻んでしまうということです。
ステップファミリーがうまくいくにはどうしたらいいか。その問いはすべて、この「子供に何度も喪失を味わわせない」というところに戻っていくのかもしれません。