勤続年数で見る平均年収
平均年収は年代によって段階的に上がっていきますが、ここではさらに勤続年数と平均年収の関係性について、再び国税庁の調査結果(2018年)を参考に解説していきます。同じ会社で働き続けた場合、どのように収入に反映されていくのでしょうか。
勤続年数による平均年収も男女で差があるため、まずそれを見ていきましょう。
男性は勤続1年目から給与が上がり続け、勤続30~34年でピークを迎えます。その年収は771万円で、大学新卒で入社した場合、52~56歳が年収のピークということになります。
女性も同じく給与は勤続1年目より上がる傾向にありますが、ピークは勤続25~29年と男性よりも早く、その額は436万円となっています。
この調査結果を踏まえると、最初に就職した会社で長らく勤務することが高年収への確実な道のように考えられるかもしれません。この結果は日本企業に古くから根付いている、年功序列による賃金制度の影響によると言えるでしょう。
しかし時代は急速に変わりつつあります。成果主義を取り始め、年功序列による人事制度を廃止する大企業も増え始めました。2020年代、20代のビジネスパーソンが同じ会社にとどまることが年収を上げるための近道と言えるかどうかはまた別の話です。
今は一つの会社にこだわらず、スキルアップや待遇改善などの目的で勤務先を変える、いわば転職が当たり前の時代。高収入を得たいのなら、転職によるキャリアアップを視野に入れてみるのもひとつの手段です。
業種別の平均年収
それでは続いて業種別の平均年収を見ていきましょう。国税庁の「平成30年分 民間給与実態統計調査」によると、2018年の平均賞与と平均給料・手当を合わせた平均給与額トップは「電気・ガス・熱供給・水道業」で759万円でした。
2位は631万円の「金融業、保険業」、3位は622万円の「情報通信業」で、その差は大きくはありません。次いで「製造業(520万円)」、「建設業(502万円)」、「学術研究、専門・技術サービス業、教育・学習支援業(498万円)」と続きます。
反対に、平均給与が最も少なかった業種は「宿泊業、飲食サービス業」で、その額は251万円と平均年収を大きく下回る結果となりました。
平均給与が高い業種にはエネルギーや通信、金融・保険といった、私たちの生活基盤や経済活動を支える仕事の多くが含まれています。こうした業種の企業を選択することも、高収入を目指すための選択肢になり得るでしょう。
地域別平均年収
年代や業種はもちろん、勤務先の属する地域によっても平均年収に差はあります。ここでは、転職サービスdodaの調査による都道府県別ランキング(2019年)を参考にしました。
全国の都道府県別平均年収ランキングの1~5位は、東京都(438万円)、神奈川県(430万円)、千葉県(414万円)、栃木県(410万円)、埼玉県・茨城県(408万円)と関東エリアが上位を占める結果に。
一方、ワーストは沖縄県(337万円)、秋田県(357万円)、高知県(359万円)、宮崎県(361万円)、北海道(362万円)の1道4県で、沖縄県と東京都の間では約100万円も年収額に違いが見られました。
順位間では2位の神奈川県と3位の千葉県に16万円ほどの差があるものの、他の順位においてはさほど大きな差異はありません。また2018年との比較によれば、47都道府県の多くが前年の平均年収よりも下がりましたが、徳島県が361万円から381万円とプラス20万円、鳥取県が361万円から377万円のプラス16万円と大きく増額した県もありました。
日本を地域別に分類した調査では、関東(427万円)がトップを獲得。次いで東海(401万円)、関西(390万円)、北信越と中国・四国(381万円)、九州・沖縄(369万円)、北海道・東北(368万円)の順になりました。
平均額が400万円以上の地域は関東と東海で、全国平均である408万円を上回ったエリアは関東のみ。この結果から関東が高収入を見込める地域であること、また同時に高収入の職種が関東に集中しやすいことが分かります。
スキルアップ&キャリアアップで高収入を目指そう
年収を少しずつでも増やしていきたいのなら、年功序列の賃金制度を残している会社で、就職から定年まで働き続けるのもよいでしょう。しかし賃金制度の将来的な変化や、業種・職種による給与額の違いなど、高収入の夢を阻む要素が存在することもまた事実。
壁を越えて高収入を実現するなら、スキルアップ、キャリアアップによって自らの価値を高めていくことが大切かもしれませんね!
提供・UpU
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