お金持ちは自分の利益よりお客様第一
二つ目の共通点は、常に「お客様が第一」だと考えていることです。
これも当たり前に思えますが、意外と実践できている人は少ないものです。例えば、行政書士の仕事は、通常お客さんから相談の電話があります。しかし、仕事を依頼してもらわないと報酬が入ってきませんから、私は開業当初、とにかく早く成約に結び付けようとしていました。
しかし、そのような心の中は相手に伝わるもので、なかなか契約してくれませんでした。そこで発想を変えて、「この相談者のために、役に立ちたい」という気持ちで、質問や相談に丁寧に答えるようにしたところ、徐々に契約に結び付くようになりました。つまり、「契約=報酬(お金)」よりも「役に立ちたい=お客様第一」に軸足を置いたことで、態度や言葉が相手に伝わり、信頼していただき、契約していただくことになったのです。
このことは、自営業者、サラリーマンに関係なく、仕事における基本中の基本だと思います。私の知り合いの稼いでいる税理士や司法書士、弁護士でも、その考え方が言葉の端々に表れています。
お金持ちは成功への道を諦めない
三つ目の共通点は、なかなか自分の負けを認めない性格です。
私が開業して10年の間に、同僚の行政書士のうち廃業した人が少なからずいます。弁護士、司法書士、行政書士、税理士など、「士」が付く職業をまとめて「士業」と言いますが、士業の中で行政書士は、最も廃業率が高いと言われています。
「せっかく行政書士になったのにもったいない」と思うかもしれませんが、現実は厳しいものです。「開業後、数年間は仕事がないと覚悟しなさい」と、先輩たちに言われたことがあり、私も開業当初その言葉が身にしみていました。
お金持ちは「どうすれば上手くいくか」を常に考えている
一方で多くのスタッフを抱えて、順調に仕事をこなしている同僚の行政書士もいます。彼らを見ていると、冒頭に申し上げた「なかなか自分の負けを認めない性格」である場合が多いのです。
行政書士は、「このような方法を取れば仕事が来る」ということはなく、自分で創意工夫、試行錯誤していかなければなりません。しかし、いろいろ試してもなかなか実を結ばず、しかも収入ゼロが何ヵ月も続けば、どんな人でも追い込まれてしまいます。
ここで、「もういいや」と諦めて廃業してしまうか、なかなか自分の負けを認めず、挑戦し続けていくかに分かれるのです。これは、自営業に限ったことではなく、サラリーマンで営業成績が上がらないケースも同様だと思います。ある漫画のセリフではありませんが、「諦めたら、そこで試合終了」なのです。
仕事に対する真摯な姿勢がお金持ちの共通点
まめであること、お客様が第一だと考えること、負けを認めないことの3つは、仕事を続けていくことの基本です。結局、お金持ちは「仕事に対して常に真摯に向き合っている」ということでしょう。
文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)
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