官能評価の目的

 

食品の官能評価(味覚評価)は、主に2つの目的で実施されます。

 

1つ目は、
「ヒト」の味覚を測定すること、です!
その人の味覚が良いか、悪いかをチェックするということですね。

※日本味覚協会が開発している味覚検定チョコは、
まさに「官能評価」ができるチョコと言えます!!
味覚検定チョコ(NORMAL)

 

 

2つ目の目的は、
モノ(食品)の味をチェックすること、です。

例えば食品会社で新商品を開発するときに、
新商品と既存品を比べて味がどのように違うか、などをチェックしたりします。

 

 

官能評価の評価者(パネル)

 

では、官能評価は一体誰が行うべきなのでしょうか?

「手の空いた人でやっといて!」というようなものではなく、きちんとしたルールがあります。

それが、「分析型パネル」と「嗜好型パネル」です!

分析型パネルは、
「少人数」かつ「専門家」であることが特徴で

嗜好型パネルは、
「大人数」かつ「専門家ではない」ことが特徴となります。

 

「専門家って何なのよ?」と言われると難しい(各社の判断だったりする)んですが、
基本的には、前述の「ヒト」の官能評価をクリアした方(つまり味覚の良い人)は
専門家と言っていいと思われます。

 

逆に、「専門家ではない人」とは、つまり一般の方々です。
例えば、一般の方100人を集めてテイスティング調査を実施する、といった形になります。

 

また分析型パネルでは、
採点法(個別に点数をつける)など様々な評価手法が用いられますが、

嗜好型パネルでは、
「食べ物Aと食べ物Bのどっちが好きですか?」というような
比較して答えを得ることができる(簡単な)評価手法を用いることが推奨されています。

 

 

M-1とキングオブコントは「分析型」!THE Wは「嗜好型」!

 

ここでお笑いの話に戻ります!

 

各大会の評価者を見てみると、

M-1グランプリは7名(大御所の方々)、
キングオブコントは5名(松本人志さんとさまぁ~ず、バナナマン)

THE Wは401名(一般の方々とゲスト審査員)

となっています。

 

なおかつ、
M-1グランプリとキングオブコントは個々に点数をつける手法(採点法)を用いており、

THE Wは、「どちらが面白かったか?」を比較して投票させる仕組みを用いています。

 

これは、まさに「分析型パネル」と「嗜好型パネル」の特徴をとらえており、
官能評価の仕組みとしては素晴らしいものと言えると思います!

 

M-1グランプリ&キングオブコント

【分析型】

「専門家」か否か:○(お笑いの専門家と言える)
人数:○(少人数)
評価手法:○(100点満点の採点法)

 

THE W

【嗜好型】

「専門家」か否か:○(嗜好型は専門家ではなく一般の方々でよい)
人数:○(401名と大人数)
評価手法:○(比較法)

 

 

特に、THE Wの審査方法について、

ゲストのタレント審査員は「専門家」ではないため一般の方と同じ扱い(持ち票は1票)、
にした点や、

面白いと思ったら複数投票してよい(いわゆるオンエアバトル方式)ではなく、
比較して面白い方だけに投票する、という方式にした点、

など、
しっかりと「嗜好型」の官能評価について勉強された方が設計されたのだなと感じました。

 

逆に、M-1グランプリとキングオブコントについては、
(概ね評価方法に問題はないのですが)
味覚の「分析型」官能評価と比較すると若干異なる点がありますので、
気になった点を述べさせていただきます。

  • 評価者について
    分析型パネルは「専門家」であることが絶対条件となります。

個人的には、現在M-1グランプリやキングオブコントの審査員を務める方々は
まさに「笑いの専門家」と言える方々だと思っていますが、

官能評価のように「お笑いを見る感度」を測定し、
その試験をクリアした方、という訳ではありません。
(そんな試験はないので仕方がないのですが)

 
そのため、「専門家」であることの根拠に欠けることとなり、
まれに「この人が審査員で大丈夫?」というような声がネットで上がる状況が起きてしまっています。

 

  • 採点の点数について
    M-1グランプリとキングオブコントでは、1人100点満点で評価をしています。

味覚評価の場合では、100点なんていう持ち点を使うことはほとんどありません。
5点満点や10点満点、多くても-10~+10という20点満点の指標です。

 

番組を見ていると、
100点満点とは言うものの実際は80点~100点の間(20点満点)
で評価しているようなので問題はないのですが、

 
(過去には立川談志師匠が50点を付けたこともありますし)
付けられる点数の幅を(本来は明確に)決めておく必要はあると思います。

 

キングオブコントの過去の評価方法は失敗だった!?

 

キングオブコントの審査方法はいくつかの変遷を経て現在の形になっています。

過去は「優勝者となる芸人を決めるのは、芸人自身」をコンセプトとしており、
特に第2回(2009年)~第6回(2013年)までは、

準決勝に進出した芸人100人が、1人10点満点で評価をする、という形式をとっていました。

 

これは官能評価の観点で考えると、、

【分析型??】

「専門家」か否か:△(準決勝進出者は専門家と言えなくもないが・・・)
人数:×(少人数ではない)
評価手法:○(10点満点の採点法)

 

【嗜好型??】

「専門家」か否か:△(嗜好型なら一般の方々で十分だが・・・)
人数:○(100名は大人数と言える)
評価手法:×(嗜好型に採点法は相応しくない)

 

分析型、嗜好型、どっちつかずの評価方法となってしまっていました。

 

これは、官能評価の評価手法としては適切ではないと言わざるを得ません。

審査方法の決定や変更の背景は定かではありませんが、
結果として、現在の形(分析型)に変更されたことは、自然な流れだと思います。

 

お笑い番組以外にも、モノマネ番組やカラオケバトルなど、
「審査」形式のバラエティは多く存在します。

そのときに、今日のお話を思い出して、

  • そもそも「官能評価」なの?(機械が判定してる?人が判定してる?)

  • 「官能評価」だとしたら、分析型?嗜好型?それとも”どっちつかず”?

という点に着目してテレビを見ると、また一つ面白い発見ができるのではないかと思います!

(最後に宣伝)
日本味覚協会では、味覚に関する官能評価(試飲/試食調査)の依頼について
随時お受けさせていただいております。
(「分析型」、「嗜好型」ともに実施することが可能です)

また、官能評価に関する研修/セミナーにも対応しています。

ご興味をお持ちの方は、お問い合わせフォームよりご連絡お願い致します!

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本日のまとめ

  • 官能評価では分析型パネルと嗜好型パネルが用いられます。
    ・お笑いの審査方法は味覚の評価方法とすっごく似てる!
    ・今日はお笑いをテーマにした回でしたが一切ボケることなくお送りしました
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提供・味覚ステーション

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