国や地方への公益事業への寄付などが対象 寄附金控除

特定寄付金として国・地方自治体や公益法人などに支払った金額は、「寄付金控除」として所得控除の対象となる。

具体的には国や地方公共団体への寄付金のほか、公益社団法人が一般募集している教育振興や社会福祉の向上などのための寄付制度、独立行政法人や日本赤十字社、自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団、社会福祉法人、更生保護法人、一定基準を満たした政治活動などに対するもの。学校入学に関連する寄付金や特定利益を受けるための寄付金は対象にならない。

寄附金控除の枠組みにおける所得控除額は、「1年間の合計寄付額」と「1年間の総所得額の40%」のうち低い金額から2000円を差し引いて算出する。

障害の程度などによって控除額を規定 障害者控除

所得控除の一つである「障害者控除」では、納税者本人や一定基準を満たした配偶者や扶養親族などが対象にある。障害者控除における「配偶者」とは、生計を一にしており、かつ1年間の合計所得額が38万円以下の人を指す。

障害者控除の対象者となるのは、精神保健指定医などにより知的障害者と判定された人や精神障害者保健福祉手帳が交付されている人、身体障害者手帳に身体障害の記載がある人、戦傷病者手帳が交付されている人、6カ月以上寝たきりの状態で、身体障害などによって高度な介護を要する人などだ。

障害者控除の所得控除額は、障害者の場合は27万円、障害の程度が重いなどする特別障害者が40万円、同居特別障害者が75万円と規定されている。

死別や離婚による独身者が対象 寡婦(寡夫)控除

寡婦(かふ)・寡夫(かふ)とは、配偶者と死別または離婚するなどして、再婚していない男性・女性のことを指す。この寡婦・寡夫を対象にした独身者が対象となる所得控除が「寡婦控除」「寡夫控除」だ。

寡婦控除の場合、扶養家族がいる人がいたり総所得金額等が38万円以下などの条件を満たしている子供と一緒に生活をしたりしている独身者、もしくは年間の合計所得金額が500万円以下の人に適用される。所得控除額は27万円で、複合的な条件を満たした「特別な寡婦」は35万円まで所得控除される。

寡夫控除では、年間の合計所得金額が500万円以下で、総所得金額等が38万円以下などの条件を満たしている子供と一緒に生活をしている人がいる独身男性が対象となる。寡夫控除としての所得控除額は27万円。

働きながら学ぶ生徒や学生が対象 勤労学生控除

「勤労学生控除」とは名称の通り、勤労学生に適用される所得控除だ。小中学校、高校、大学、高等専門学校、専修学校などに通いながら仕事をし、給与所得などの合計額が一定条件下で65万円以下となる人が対象となる。認定職業訓練などの職業訓練法人で、職業能力開発促進法の規定における課程を履修させている学校の生徒に対しても、この勤労学生控除は適用される。勤労学生控除額は年間27万円となっている。

災害被害や盗難・横領被害などで適用 雑損控除

「雑損控除」は聞いたことがない人も多い所得控除の一つであるとも言える。災害や盗難などで被害を受けた場合は、その被害額などに対して所得控除を受けることができる。適用されるのは、震災や風水害、冷害などの自然災害のほか、火災などの人為的災害、害虫などによる災害、盗難・横領被害などで、詐欺や恐喝による被害はこの雑損控除では所得控除されない。

雑損控除の算定には「差引損失額」をまず計算する必要がある。この差引損失額は「損害金額」と「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」の合計額から、「保険金などにより補てんされる金額」を差し引いて計算される。実際の控除額は、この差引損失額から「総所得金額等の10%」を引いた金額と、差引損失額のうちの災害関連支出額から5万円を差し引いた金額のどちらか大きい金額のほうとなる。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)/ZUU online

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