近年テレビや雑誌で取り上げられる機会が増えた、「老後破産」という言葉。「将来、もしかして自分も……?」と不安になる方も多いのでは?老後に貧困状態に陥る原因と、今からできる対策についてご紹介します。

老後破産に陥る4つの原因

(写真=PIXTA)

充分な貯金ができていなかった

「人生100年時代」と言われる現代。厚生労働省の調査によると、女性の2人に1人が90歳以上まで長生きするそうです。60歳で定年退職したとしても、あと30年も40年もその後の人生が続く可能性があります。「老後」は案外長いのです。

定年退職後の生活費を退職金や年金でまかなえるのならば問題ないのですが、なかなか難しいのが現状ではないでしょうか。長生きをする前提で、自分で自分のためにお金を用意しておかないと、途中で底をついてしまう可能性があります。

老後の生活レベルを落とせなかった 

年金暮らしになり収入が減ったのに、現役時代と同じ感覚でお金を使っていると、どんどん赤字になってしまうことにもなりかねません。貯金があっても、油断は禁物です。

数千万単位の退職金を手に入れて金銭感覚が鈍ってしまい、趣味だ!海外旅行だ!と大盤振る舞いした結果、後から苦しくなってしまう方もいます。たくさんのお金を使わなくても幸せでいられるような、身の丈に合った暮らし方を見つけたいところです。

病気や介護などで想定外のお金がかかった

きちんと節制していても、想定外の災難に見舞われるかもしれません。突然、脳梗塞で倒れたり、階段で転倒して骨折してしまったりするかもしれません。病気やケガは予想できないものですが、高齢になればなるほど病気やケガをする確率は高まってきます。

入院・手術などの医療費や、介護が必要になった時、施設に入ることになった場合の費用は大きな負担になります。自分ではなくても、親や兄弟など身近な人が倒れてしまい、それを助けるために自分の生活が圧迫されてしまうこともあります。

自分一人で抱え込んでしまう

自分が苦しいとき人に頼ることができれば、まだ精神的にも和らぎますし、何か解決策も見つかるかもしれません。ただ、お金の悩みは特に人に相談しにくいと感じる方も多く、つらくてもSOSを出せず孤独になってしまうことがあります。周りの人も気付けず、救いの手を差し伸べられないままだと余計に事態が悪化してしまいます。

老後破産にならないために今からできること

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老後にいくら必要なのか知り、今からお金を貯めておこう

ただ、やみくもに貯蓄するだけでは不安は消えませんし、今を楽しむことができません。まずは、将来に備えていくら必要なのか計算してみましょう。

「自分が毎月生活していくのに必要な金額×12ヵ月×30年(60歳~90歳まで)」から「退職金+30年間でもらえる年金額」を引くと、いくらになりますか?簡単な計算ですが、退職時までに貯めておきたい金額の目安になります。老後に必要な生活費や年金受給額は、早めに把握しておきたいポイントです。

まだ老後まで時間があるなら、貯金だけではなく、投資もあわせて行えばお金が増えるチャンスが広がります。年金や投資など、お金について知っておいたほうがいいことはたくさんあります。老後に向けて、少しずつでも勉強しておいて損はありません。

老後の仕事のことを考えておこう

将来の資金計画を立てるとき「何歳で仕事を辞めるのか」はとても重要です。60歳で退職して無職になる人と、60歳で定年退職した後も月5万円分働く人とでは、70歳の時点で600万円の差が出ます。自営業だったり手に職があったりすると、60代でも現役並みにバリバリ働いて稼いでいる方もいます。

自分は何歳まで何時間くらい働いて、いくらくらい稼いで、どんな老後を送りたいのか、一度ゆっくり考えてみましょう。

健康に気を付けよう

お金に関係ないようにも見えますが、健康でいることは医療費の節約になります。それに、身体の具合が悪いと、好きなものが食べられなかったり旅行に出かけられなかったり、自分が理想とする楽しい老後の過ごし方ができないかもしれません。それだと、どんなに貯金があっても意味がありませんよね。

困った時に頼れる人を見つけておこう

家族でも、友達でも、近所の人でも、役所の人でもいいので、困ったときに相談できる相手を最低1人は見つけておくと心強いです。家のこと、お金のこと、仕事のことなど自分で解決できなくても人に頼れば解決策がみつかるかもしれません。本当に苦しい時は生活保護などの社会保障制度を検討する選択肢もあります。

老後破産にならないためには今からお金と心の準備を

(写真=PIXTA)

「老後破産」というと暗い話ばかりになりがちです。でも、今のうちからしっかりお金と心の準備を進めておけば、楽しくしあわせな老後を過ごすことだってできるはずです。人生の後半で後悔しないためにも、今を大切に、できることから始めてみましょう。

文・馬場愛梨(ファイナンシャルプランナー・心理カウンセラー)

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