「無名の若手ならまだしも、多少キャリアがある芸人が1回戦で落ちたら、『つまらない芸人』だとレッテルを貼られてしまいかねず、評価を下げるリスクが高い大会になりえる。大会運営への不安もあるし、1回戦落ちの可能性も高いということもあって、出場を回避する芸人も結構いるようです」(同)

 漫才&コントの両方を審査するというルールであるがゆえに、大会運営や予選審査への不安が残るダブルインパクト。今後継続していく大会にするには、レギュレーションの大幅変更が必要となってくるかもしれない。

「たとえば、THE SECONDは芸歴15年以上という縛りがあることもあり、今年のエントリー数は140組とかなり少ない。そのおかげもあって出場芸人たちのネタのクオリティーの高さをキープできています。ダブルインパクトは、プロ・アマ・ユニットOKで、エントリー数が多くなってしまった。単純に予選ライブの運営のことを考えれば、出場資格のハードルをもうちょっと高くして、エントリー数を減らしていくべきでは。芸人の間では、少なくともアマチュアやユニットでの出場はNGにしたほうがいいという声も聞こえてきます」(同)

 とはいえ、新たな賞レースに期待する声もある。お笑いライターの新越谷ノリヲさんは『ダブルインパクト』について、こう展望する。

「2020年に『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で優勝したマヂカルラブリーの漫才に対して『漫才か、漫才じゃないか』という、いわゆる『漫才論争』が浮上したことがありましたが、『ダブルインパクト』がこの問題にどう対応するのかに興味がありますね。漫才とコントの両方を個別に審査するということは、その両者を厳密に切り分けるということです。すでに参加を表明しているロングコートダディは間違いなく優勝候補だと思いますが、漫才の中でコントインしたり、漫才の構造そのものをフリに使ったりという独特のスタイルで『M-1』を戦ってきたコンビです。大会のレギュレーションによっては、彼らのまったく新しいスタイルを見ることができるかもしれません。一方で、コントはコント、漫才ではしゃべくりのスタイルを選択しているななまがりやビスケットブラザーズ、蛙亭や漫才に歌ネタを持っているダンビラムーチョといったコンビにはうってつけのステージになりそうです」