先日、「無課金妊婦」という表現がX(旧Twitter)上で話題になりました。不妊治療中の女性が、不妊治療をすることなく自然妊娠した女性を指して使った語句です。

妊娠
※イメージです(以下、同じ)
 2021年に流行語大賞にノミネートされた「親ガチャ」を筆頭に、「課金」「SSR(アイテムなどの希少性を示すスーパースペシャルレアの略)」など、元はゲーム用語として広がった言い回しが、育児や人生に対してもどんどん流用されるようになってきました。

◆ゲーム感覚で不妊治療しているわけじゃないのに

Google トレンド 無課金妊婦
「Google トレンド」で「無課金妊婦」「親ガチャ」「子ガチャ」の検索数を表示した結果。期間は本サービスで最初に「無課金妊婦」を確認できる2024年12月初旬から25年2月14日まで。なお、Xでは「無課金妊婦」の使用例を22年頃にまで遡ることができた
 今、俗語として日常的に使われている「課金」とは、本来の意味からは反転して、サービスやコンテンツを使用する際にお金を支払うこととして定着しています。

 特にゲームにおいて「課金」することとは、アイテムのゲットやプレイ時間の増加など、優遇された楽しさを享受するための行為です。お金を払った分だけ、「自分がほしいものがすぐに手に入る」「簡単に手に入れられる」という意味合いが付加された「課金」。

「無課金妊婦」とのことばの裏には、「自分はこんなに重課金しているのにずるい」といった、羨望を超えた嫉妬心までもが含まれているのでしょう。

 しかし、課金をしたとしても、ほしいものたる“赤ちゃん”が手に入るとは限らないのが、妊娠であり出産です。

 不妊治療にお金をかけるほど、妊娠する確率をしない状態より上げられはするのかもしれませんが、それでも「絶対に妊娠できる」保証はありません。

 不妊治療中の知り合いの女性に、「無課金妊婦」のワードがXで炎上したことについて話を聞いてみると、不快感をあらわにしていました。