不妊治療
「不妊治療をしたのに妊娠できなければ、お金をドブに捨てたように思えるばかりか、自分自身がとても無様でかわいそうな存在にすら思えてしまう。

 お金も時間もかかれば、精神的な負担も大きい。けれど本来、それらを覚悟した上での結果は、自分たちが納得できればよくて、他人は関係ないもの。

『ゲーム感覚で不妊治療をしている』印象を与えてしまいかねないから、『課金』を生殖に対して使うのはやめてほしい」

◆わが子が「親ガチャ外れた」なんて言わないように…

 同じくゲーム用語として広まっているものに、「ガチャ」があります。ゲームセンターにあるカプセルトイのように、ほしいアイテムやキャラクターをゲットすべく、アプリ上で回す「ガチャ」。

 どんな景品・アイテムが出てくるのかは運次第であることから転じて、「運によって大きく結果が異なる」事態にひろく使われるようになっています。

 その中でも頻繁に耳にするようになったのが、子どもが生まれてくる環境や親を選べないことを指す「親ガチャ」です。

「ガチャ」に当たり外れがあることと同じ発想で、親ガチャに外れたら不幸、親ガチャに当たったら幸せ、といった価値観を持つ人は、現代ではかなり多いように感じられます。

Google トレンド 親ガチャ子ガチャ
同サービスでは、2015年頃から「親ガチャ」「子ガチャ」の語が検出される。21年12月の「親ガチャ」急上昇は、流行語大賞への選出によるもの
 容姿に悩んで整形する人が「親のこの遺伝のせいで」と遺伝子を憎んだり、大学時代に借りた奨学金を返済している人が「親が貧乏なせいで」と経済状況を恨んだり。

 人生はいくら努力をしても大して意味がなく、そもそもどんな親から生まれたかで決まってしまう――そうした考え方は、こと若者の間ではかなり一般的になっているのではないでしょうか。

 一方、友人のシングルマザーはこの「親ガチャ」の表現に、知らず知らずのうちに深く傷ついてしまっていると言います。