ゲームをする子ども
 子育てそのものもゲームに喩えられているのは、「難易度が高すぎて絶対にクリアできない」という認識が強まったゆえなのでしょう。

 ただし、ゲームは誰かが作ったストーリーです。用意されたキャラクターやアイテムを駆使しつつ、場合によってはガチャに課金しながら攻略を進めれば、クリアできるようになっているもの。

 対して妊娠や子育てにおいては、一つひとつの壁にぶつかるたび、試行錯誤しながら自分たちにとっての「正解」を見つけていくしかなく、明確な“クリア”はそもそも存在しません。

 課金してガチャをたくさん回すことで、誰もがほしがるレアアイテムを手に入れられるといった構造とは、決して同一視できないはず。

 ゲーム用語で表すことは、キャッチーさを持たせ、当事者以外にも共感を呼びやすくなるメリットがあるかもしれません。

 しかし、ゲームと同じ価値観や重みで妊娠や子育てを語るのは、命を軽んじてしまう危険性とも背中合わせなのではないでしょうか。

<取材・文/エタノール純子>

【エタノール純子】

編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中