等級を引き継ぎ、保険料負担を抑えるという選択

自動車保険の年齢条件には「全年齢補償」「21歳以上補償」「26歳以上補償」「35歳以上補償」といった種類があり、全年齢補償で6(S)・7(S)等級での加入となると、割増率が適用される。そのため20歳以下の人が自動車保険に新規加入しようとすると、かなり高い保険料を支払わなければならない。

そこで提案するのが、「等級を引き継ぐ」という方法である。自動車保険の被保険者は、被保険者(a)、被保険者の配偶者(b)、または(a)(b)の同居の親族に該当する者に変更することができる。

具体的に、シミュレーションしてみよう。母(50歳)が20等級の自動車保険契約を保有しており、その子(19歳)が新たに車を購入・自動車保険に加入すると仮定する。この場合、7(S)等級・全年齢補償で保険に新規加入するのが一般的だろう(複数所有新規)。そうすると、新契約の保険料には11%の割増率が適用される(上で挙げた二社の割増引率を適用)。

では、以下のような方法をとるとどうなるだろうか。まず、母の保険の被保険者を子に変更し、子が購入した車に車両入替をする。もちろん、全年齢補償にすることで保険料は高くなるが、この保険は20等級であるため63%の割引率が適用される。一方、掃き出される形になった母の車については、7(S)等級・35歳以上補償で新規加入する。すると、母が新規加入する契約には40%の割引率が適用されるのだ。記名被保険者変更と車両入替という簡単な手続きをするだけで、割引率に50%以上もの差が出る計算になる。

子や孫が自動車保険に新規加入する場合は、こういった手法を検討してみてはいかがだろうか。そうすることで、1世帯あたりの保険料負担をかなり軽減できるはずだ。

等級は10年間保存可能

保険の等級は、中断証明書を発行してもらうことで10年間保存することができる。中断証明書がある場合、10年以内であれば保存した等級の割引率を使って自動車保険に加入することができる。一方、中断証明書がない場合、等級の引継ぎができず6(S)等級からの加入になってしまう。

中断証明書を使うと、被保険者だけでなくその配偶者、同居の親族も等級を引き継ぐことができる。年齢などの事情により今後車に乗る予定がない場合でも、中断証明書をつくって等級を保存しておけば、子や孫がその等級を使って保険に加入できる可能性があるのだ。車の廃車や譲渡などによって自動車保険を解約するときは、中断証明書の発行を依頼することをおすすめする。

等級制度を理解して賢く保険に加入

等級は、自動車保険の保険料を大きく左右する要因だ。そのため自動車保険には、できるだけ高い等級で加入したい。複数所有新規で加入したり、被保険者変更と車両入替を組み合わせて等級を引き継いだり…というように、基本的には6(S)等級からの加入が原則となる自動車保険も、ちょっとした工夫によりお得に加入することができる。自動車保険への新規加入を検討しているならば、まずはこういった制度を活用できないか検討してみてはいかがだろうか。

文・曽我部三代(ファイナンシャルプランナー)/ZUU online

【こちらの記事もおすすめ】
豊かな老後のためにすべき3つのこと
アラフォー女性のための幸せ貯金計画
お金が貯まる5つのコツ
貯まらない女子「3つの言い訳」対処法
「お金がない時」5つのNG行動