脱子役イメージについては、業界内では「すでに成功した」との見方が強いという。あどけなさの残ったルックスの影響で「かわいい愛菜ちゃん」のイメージが抜けきれないように見えるが、女優として、タレントとしての彼女はもう成長済みだというのだ。前出の記者が言う。
「『マルモのおきて』でブレイクしてからバラエティ出演が増えた芦田は、年相応の無邪気さと可愛らしさでお茶の間の人気者になったが、早くからしっかりとした自我を持っており、5歳で『Mother』のオーディションを受けた際には、セリフの読み合わせや質疑応答に他の子役にはない個性があったという。中学・高校と成長するにつれて取材を受ける機会が増えたが、芦田の的確な回答と落ち着き払った立ち居振る舞いは業界内では有名で、それが嫌味にならず、しっかりとした考え方に裏打ちされていることから評判も良かった。
その背景には、小さい頃から読書家で、それを“お勉強”としてではなく、娯楽として楽しむ教養の高さや、早くから芸能界に携わったことで育まれた責任感がある。そんな芦田の魅力を世間に知らしめるのに一役買ったのは、MCを務めるテレビ朝日系バラエティ『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』だろう。この番組で芦田は、特定の分野に詳しい一般の少年・少女たちの魅力を引き出しながら、サンドウィッチマンと共に和やかに番組を回している。そつなく振る舞うのではなく、時に天然っぽい素の表情で親しみやすさを出しつつ、教養の高さや育ちの良さも垣間見せるところが、視聴者の心をつかんでいる。
このように着実に成長を続けているからこそ、スムーズに脱子役ができた。慶応義塾大学法学部政治学科に在学中で、今年から国連開発計画の国内親善大使に就任したが、政治色を表に出すことがほとんどないのも親しみやすさにつながっている。子役のイメージを引きずることなく、大人の女性へと進化を続けている芦田が、大学を卒業して仕事に専念するようになったとき、どんな作品に出演するのか。決して時流や周囲に流されることなく、自分の信念を貫いた役選びをするはずで、期待はふくらむばかりです」