橋本の頭の回転の速さやツッコミ技術は業界内でも高く評価されているようだが、テレビ東京系バラエティ『ゴッドタン』では、橋本がツッコミのテクニックを披露することができる番組がなかなかないという実情がネタにされていた。それも銀シャリの実力に評価が追いついていない原因の一つといえそうだ。これについて、田辺氏はこう指摘する。
「今のバラエティ番組って、極端に言うとひな壇に10人のボケ芸人やイジられ芸人が座って、1人か2人のツッコミ芸人がそれをさばいていくタイプのものが多い気がします。その1人、2人のツッコミ芸人の枠には、まさにフットボールアワーの後藤さんや、くりぃむしちゅーの上田(晋也)さんあたりが座りがち。『たとえ』の巧みさを武器とする同系統のツッコミ芸人である橋本さんには、なかなかその順番が回ってこないのが現状だと思います。
あと橋本さんはいかにもツッコミ芸人で、イジられるタイプではありません。現在のバラエティはイジられるタイプが強いので、実力を見せる機会が少ないのではないでしょうか。あとバラエティ番組的には、ボケ芸人やイジられ芸人でオチをつけるほうが、そのくだりがすんなり収まるので、そういった編集点や展開部分も、橋本さんの出番が少なくなる理由なのかもしれません」
銀シャリが実力に見合った評価を得るためにはどうしたらいいのか。田辺氏はこう提言する。
「橋本さんがバラエティ番組でその高い技術を遺憾なく発揮するためには、やはり冠番組やメインMC番組を増やすしかないでしょう。最初はきっと視聴率的なところで伸びづらいと思います。それでも橋本さんや、銀シャリのコンビとしての実力を買って、長い目で番組作りをやっていくテレビ関係者がいれば、もっと陽の目を浴びる気がします。
もう一つ、銀シャリはラジオスターの可能性を秘めていると思います。橋本さんはトークが上手で、鰻さんはツッコまれる要素がたくさんあるので、しゃべりやその空気感をメインとするラジオはぴったり。実際、銀シャリのラジオ番組はどれも長続きしています。年齢を重ねていって、ちょっと上の世代をターゲットにした全国規模の番組をやるようになれば、ラジオスターの道がひらけていく予感がします」
(文=佐藤勇馬)