これをきっかけに再評価が進むことが期待されるが、実力に比べて銀シャリが過小評価されてきた状況について、芸能ライターの田辺ユウキ氏はこう分析する。

「2016年の『M-1』優勝前から銀シャリの漫才はもちろん見ていましたし、早くからその漫才のうまさは評価されていました。ただ、若手なのにうますぎるゆえ、隙がないのと、ベテラン的風格もあってかわいげにも欠けていたのかもしれません。なにより銀シャリというコンビ名が渋すぎますよね(笑)。それでも若手時代は鰻さんがアイドル的人気を誇っていて、女性ファンも結構多くいた印象です。ただ、やはり若手時代から中堅コンビ、ベテランコンビみたいな風格が漂っていたため、若手特有の勢いみたいなものが感じづらく、それが爆発的人気に至らなかった理由に当たるのかもしれません」

 人気芸人たちがべた褒めした銀シャリを、田辺氏はこう評価する。

「個人的には、橋本さんは特に業界内での評価が高いと感じられます。素晴らしいのが、『たとえツッコミ』の引き出しの多さ。銀シャリのYouTubeチャンネルには、橋本さんのたとえツッコミの数々が堪能できる『銀シャリ橋本の神ツッコミ&例えまとめ集』という動画が載っているのですが、たとえば串カツ屋でのロケで壁にかけられているメニュー板を見渡して『これ、道場破りして持って帰ろかな』と言ったり、一緒に呑んでいる鰻さんの服の生地を触りながら『女性が着るワンピースの生地や』とイジったり。どれもワードチョイスが絶妙で、しかもそれが瞬発的に出てくるのが見事。あと、どんなに細かい会話も拾い上げて、たとえツッコミの“餌食”にするところもすごく、まさに『たとえツッコミ界の必殺仕事人』だと思います。

 鰻さんもいい具合で、橋本さんが釣り糸を垂らして待ち構えている『たとえツッコミの餌』に食いついていきます。そういったコンビネーションがあるからこそ、仕事が途切れることがないのでしょう。おそらくこのうまさは年数を重ねれば重ねるほど、名人芸として評価されるはず。そして師匠クラスになったとき、橋本さんは賞レースの審査員として呼ばれるようになるのではないでしょうか。そう考えると銀シャリは、『M-1』を獲っているものの、真価を発揮するのはまだ先な気がします」

もっと評価されるためには……