クララ役のメアリー・スティーンバージェンは、H・G・ウェルズ原作のSF映画『タイム・アフター・タイム』(1979年)でもヒロインを演じています。ドクとクララ、共にフランスのSF作家ジュール・ヴェルヌを敬愛する2人が、時代の壁を越えて愛し合う大人の恋愛ドラマとなっています。
タイムリープものと恋愛ドラマは相性がいいようです。スーパーマン俳優として有名だったクリストファー・リーヴが、『007 死ぬのは奴らだ』(1973年)のボンドガールだったジェーン・シーモアと共演した『ある日どこかで』(1980年)は、不朽のSF恋愛映画として根強い人気があります。
実写映画『時をかける少女』(2010年)に主演した仲里依紗は、共演した中尾明慶と結婚に至っています。『バタフライ・エフェクト』(2004年)で恋人を不幸から守ろうとする主人公の最後の決断は、泣かせるものがあります。
多くのタイムリープものは物語の終わりに悲しい別れが待っているのですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』は他のタイムリープものとはひと味違った結末となっています。ロバート・ゼメキス監督らしい作品だと言えそうです。
リー・トンプソンが選んだ意外なキャリア
そのゼメキス監督ですが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作を大ヒットさせた後、やはり同じテーマの作品を撮っています。ジョディ・フォスター主演のSF映画『コンタクト』(1997年)では、壮大な宇宙旅行の果てに主人公は幼いころに死別した父親と再会することになります。これも時空をこえた愛の物語です。
マーティが暮らすヒルバレーの歴史を『バック・トゥ・ザ・フューチャー』三部作で描いたように、最新作『HERE 時を越えて』(4月4日公開)では主人公たちが暮らす一軒家およびその土地を、太古の時代から未来までを定点観測して描いてみせています。三部作の成功体験は、ゼメキス監督に大きな影響を与えたことは間違いありません。