そこでchat noirさんが仕事に行っているあいだに、奥さんはひとりで動物愛護センターへ。というのも、和歌山県動物愛護センターは講習会参加によって、はじめて譲渡資格を得られるシステムだからです。

 講習後には、絆那ちゃんとの初対面もしっかり済ませた奥さんですが、実はここまでchat noirさんには内緒!

 帰宅後にはじめて講習会への参加や対面の報告を受け、行動力に驚かされたとか。

「先代猫を亡くしたのは2005年のことです。15年ぶりに猫と暮らすことへの喜びや期待、不安、驚きが入り混じり、妙な焦りがありました」

◆甘えてくる姿に心はすっかり決まった

絆那ちゃん
 それから2日後の9月20日、今度は夫妻そろって和歌山県動物愛護センターへ行き、chat noirさんも絆那ちゃんとの対面を果たします。

 会ううえでは楽しみさだけでなく、嫌われてしまわないかという心配にも苛まれていたchat noirさん。一方の絆那ちゃんは人間側の心配など知るよしもなく、奥さんのジーンズを嗅いでは遊んではと、天真爛漫そのものです。

「なんて物怖じしない子なんだと、うれしく思いました。妻に興味を示し、『遊んで!』と周りを行き来するも、私のことは無視(笑)。

 無理に触れないなど、初対面での猫の扱いには自信があったので、残念にも思いました(笑)」

 その後、夫婦は対面用の部屋を出て小休憩。ふたたび対面してから、お迎えするかどうかを決めることにしました。

絆那ちゃん
 部屋に戻ると、絆那ちゃんはスヤスヤ。どうしようかと悩みながらも、chat noirさんは3mほど距離をとって声かけ。すると、絆那ちゃんは起き、chat noirさんのもとへ歩いてきてくれました。

「指の匂いを嗅いでくれたので背中を撫でてみると、尻尾をピンと立てました。膝の上に乗せても嫌がらず、私の指で遊んでいました。

 その姿を見たら、心の中が“かわいい”で支配され、飼育への不安が吹き飛びました」