◆局アナ時代にはわかっていなかったこと

特に早朝の番組をやっていた頃なんて、1分1秒、疲労困憊の中、自分の体を起こし続けさせると言う感覚に精一杯で、アナウンサーという好きな仕事をしながらお給料をいただいているという現実のありがたさが、まったく、まったくわかっていなかったのです。
会社を辞めてしばらくしてからやっと気づいたのは、実は……本当に仕事が好きだったということ。
アナウンサーという仕事は、場合によっては、自分のプライバシーなども週刊誌に暴かれたり、私生活を自ら体を張って削ってまでテレビやラジオへネタを提供したりという、OLなのにかなり特殊な業種と言ってもよいでしょう。そんな生活は自分に向いていないんだ、そもそもアナウンサーなんて、自分にはまったく向いていなかったんだと一時は絶望に近い感情にさいなまれていたこともありました。
◆退社後、初めて自社以外のラジオ番組を聴いてみたら

その時は『すっぴん!』という番組が放送されていて、アナウンサーの藤井彩子さんが番組に出演されていたのをよく覚えています。肩の力の抜け方といったら……とにかく、面白いことを言ってやろうとか、ここを盛り上げなければいけない!とか、私がずっと仕事で思い続けてきたおかしな邪念のようなものを一切感じさせないお仕事ぶりを発揮されていたのです。