15歳の時、地下鉄の車両を勝手に5駅動かしたことが、その後の犯行のきっかけとなった。2016年にはマッカラム受刑者を題材にしたドキュメンタリー映画が公開された。
ショッキングな映像をアップするために繰り返される危険行為 死者後絶たず
地下鉄をめぐるもう1つの危険な迷惑行為は、走行中の地下鉄の屋根に上ってスリルを味わう「地下鉄サーフィン」だ。
ニューヨークの地下鉄は、地下鉄とはいうものの、地下を走っているのは総路線の約60%で、地上を走行している区間は長い。「地下鉄サーフィン」は地上を走っている区間で行われる。
この危険行為が急増している。「地下鉄サーフィン」をした人数は、2021年に比べ4倍以上となり2024年は約1000人となった。転落するなどして11~15歳の6人が死亡している。
「地下鉄サーフィン」は若者の「度胸試し」として1980年代に多発し、社会問題となった。最近ではソーシャルメディアの発達で、自らの危険行為を投稿することがブームとなり、爆発的に増えた。
ただ、「地下鉄サーフィン」は開通して120年かたつニューヨークの地下鉄の歴史の初期のころから行われていた。ニューヨーク・タイムズの2024年12月16日付の記事では、1938年にブルックリンで11歳と12歳の男の子が走行中の地下鉄に上り、高架にぶつかって転落し、1人が死亡したことを紹介している。
また、1923年にはマンハッタンで9歳と10歳、11歳の少年3人が電車の屋根に乗っていたところを警察に保護されたと当時のブルックリン・イーグル紙が報じている。
若者による迷惑・いたずら行為の大胆さにびっくりさせられるが、若者だけでなく、多くの乗客の安全に重大な影響を及ぼす危険な行為を長い間、止められないでいるニューヨークの地下鉄のシステムにも驚かされる。
(文=言問通)