少なくとも1つの列車の「ブラックボックス」が、1月25日午後10時20分から翌日の午前3時半まで停止されていたことが判明している。
闇市場に出回る運転席の鍵 オンラインでも購入可能
ニューヨークの地下鉄を運営、管理するニューヨーク州都市交通局(MTA)は、盗まれた車両が「動かされていた時間はわずかだ」としているが、通常運行が行われている中で、かなりの時間、長い距離を6人が乗り回していた可能性がある。
留置線路上の車両には鍵がかかっているはずだが、6人は鍵を使って侵入したとみられる。ニューヨークの鉄道運転士によると、運転室のドアは通常、施錠されているが、鍵はいずれの地下鉄車両でも使用することができるという。鍵は闇市場にも出回っており、オンラインなどで容易に入手できるとされている。NYPDは残る4人の行方を追っている。
2024年9月12日午前0時過ぎには、クイーンズのブライヤーウッド駅で、男女2人が回送電車に乗り込んで、勝手に運転した。15メートルほど走ったところで、客を乗せて駅で出発を待っていた車両にぶつかり、2人は逃走した。
車両内の防犯カメラには青いランニングシャツを着た男と、ピンクのワンピースを着て、ピンクのかばんを持ち、ピンクのシャワーキャップをかぶったピンク一色の女の姿が映っていた。NYPDはこの映像を公開して捜査を進めたところ、ともに17歳のこの2人を割り出し、逮捕した。
2023年12月30日午後4時45分ごろには、フォレストヒルズ・71thアベニュー駅のホーム端に止まっていた2両編成の電車に、少なくとも3人が侵入し、車両を動かした。150メートルほど走ったところで、電車を放置し、徒歩で逃走した。その後、16歳の少年1人が逮捕された。
この1年間に3件も「車両泥棒」が続いており、MTAのずさんな管理が問題となっている。
しかし、「車両泥棒」は、ニューヨーカーにとって比較的、聞き慣れた犯罪でもある。常習犯として有名人となったダリウス・マッカラム受刑者(58)は電車を勝手に運転したり、鉄道員になりすますなどして32回逮捕されている。