2年目以降は確定申告が不要になる?

住宅ローン控除の適用申請には確定申告が必要であると説明してきたが、先程の申請方法は住宅ローン控除の適用を初めて受ける場合の申請方法である。住宅ローン控除は最大で10年間適用されるが、2年目以降の申請手続きは初年度とは異なる。

初年度の申請については、適用要件の確認を行う必要があり、提出書類も多く、確定申告が必須となっている。ただ、2年目以降については、適用要件の確認は不要となる為、必要書類が簡素化され、会社員の場合には、年末調整での手続きで済むようになる。

年末調整で手続きを行う場合には、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」・「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が必要となる。これは確定申告を行った年の10月頃に税務署から送られてくる。この書類は以後9年分がまとめて送られてくる為、保管して毎年利用する。この書類と住宅ローン借入金融機関からの「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」を勤務先へ提出すれば手続き完了となる。

個人事業主等の場合には、2年目以降であっても確定申告で手続きを行う必要がある。ただ、会社員の場合と同様、こちらも初年度と比べると必要書類は少なくなる。確定申告書等の基本書類に加え、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の計算明細書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書」を提出すれば良い。

住宅ローン控除 所得税の控除処理はどのように行われる?

さて、ここまでは住宅ローン控除の概要と申請方法について説明を行ってきた。適用要件を満たし、確定申告や年末調整での申請を行えば、手続き自体は終了となる。では、その後の税金の控除処理はどのように行われるのであろうか。

まず、会社員の場合であるが、住宅ローン控除の初年度に控除される所得税は基本的に還付金という形で受け取る事となる。対象となる年の所得税は源泉徴収で納付している為だ。還付金については、「国庫金振込通知書」という書類が届いた後、確定申告時に指定した金融機関へ振り込まれる事となる。また、郵便局の窓口で直接受け取る方法を選択する事もできる。一般的に確定申告を行った後、1、2カ月で還付金の支払いが行われる。4月末になっても「国庫金振込通知書」が届いていない場合は、一度税務署へ確認を行ってみるべきだろう。2年目以降については、年末調整による処理となる為、12月の年末調整で控除処理が行われ、所得税が還付される事となる。

個人事業主等の場合には、確定申告時の支払うべき所得税の計算を行う際に、控除額を差し引く事となる。確定申告によって確定する所得税額が控除済みの金額となっている為、原則として、還付金の受け取り等は不要である。

住民税の控除は翌年の住民税に反映される

住宅ローン控除は所得税からの税額控除が原則であるが、支払う所得税額が控除額より少ない場合、控除しきれなかった金額を住民税から控除する事ができる。

所得税の控除は申告対象年の所得税から控除を行う事となるが、住民税からの控除については、翌年の住民税からの控除となるので注意したい。住民税からの控除が適用される場合、翌年の住民税額が控除額の分だけ減額される事となる。これは初年度や2年目以降、会社員や個人事業主といった違いに関係なく、一律でこのような処理となる。

住民税からの控除が必要な場合、その分は還付金としては支払われない為、しっかりと認識しておきたい。翌年の住民税の金額を見て、控除額が差し引かれている事を確認しよう。尚、住民税からの控除を行う際に特別な手続きは不要であるが、住民税から控除される金額には限りがあり、必ずしも所得税から控除しきれなかった金額の全てが住民税から控除されるわけではない。

また、住民税からの控除が行われる場合、その窓口は居住地の市区町村役場の税務課となる為、不明点等の問い合わせもこちらに行う必要がある。

「確定申告」という言葉で敬遠しないように

住宅ローン控除の目的は住宅購入の促進にある。多くの利用者を想定しており、手続きも比較的シンプルで分かりやすいものとなっている。会社員の方は、確定申告が必要という言葉だけで面倒に感じがちであるが、概要と手続き方法を確認すれば、決して敬遠するような作業ではない事が分かるのではないだろうか。

住宅ローン控除の控除額は一般住宅の場合で年間最大40万円と大きな金額となっている。また、適用要件も多くの人が対象となるように定められている。マイホームの購入時には積極的に活用していきたい。

文・ZUU online編集部/ZUU online

【こちらの記事もおすすめ】
ふるさと納税の失敗を防ぐ3つのステップ
金運アップが期待できる都内の神社5選
注目の最新シェアリングサービス5選
年収300万円の会社員にできる3つの節税対策
マイルを貯める3つのポイント