その一方で、寺家さんはお子さんもいらっしゃいますし、清潔感があって優しそうな雰囲気も漂っていますから、今後は『パパ芸人』としても声がかかるのではないでしょうか。あと、コンビとしてはグルメリポートなどが合いそうです。エースさんがピュアすぎるアホコメント、寺家さんがメニューに関する知識を披露すれば、それだけでリポートが成立します。そのフォーマットがあれば、バッテリィズはいろんな仕事に合うように感じられますね」

今年こそ…『M-1』の初優勝は?

 人気を不動のものにするためには、少し気の早い話だが今年の『M-1』で初優勝を飾るのが最もドラマチックで効果的だ。そうなれば文句なしの本格ブレイクとなりそうだが、田辺氏はどう見ているのか。

「個人的には、2025年の『M-1』に関してはかなり大変だと思います。『アホに物事を教える』という漫才フォーマットが広くバレてしまい、さらにテレビ出演も増加してキャラクターが知れ渡ったことで、2024年の大会に比べると衝撃度が薄らいでしまうからです。

 もちろん、漫才フォーマットやキャラクターが周知され、初見時に時間を要する『自分たちのことを分かってもらう』という導入や説明が省かれ、観客にすぐ笑ってもらえるようにはなります。ただ、漫才フォーマットやキャラクターがバレたコンビは『中盤からのもう一展開に欠ける』という状況に陥ることが多々あり、それはバッテリィズにも当てはまると思います。

 しかし、寺家さんは自分たちの漫才フォーマットの秘訣をできるだけ流出させないように務めていらっしゃいます。私は2回、単独インタビューをしていますが、漫才の構成に関する指摘に対して『できればそこは隠してもらえると』とお願いされたことが2回ともありました。寺家さんはクレバーな方なので、フォーマットやキャラクターのネタバレはある程度想定した上で、対策を練ってくるように思えます」

(文=佐藤勇馬)