
――実験がうまくいかないこともあるのですが、失敗しないためにはどうしたらいいのでしょうか?
露久保:おうち実験に失敗はないんです。本に掲載されていた仕上がりとは違う結果になっただけなんですよ。そう発想をすることで、保護者の方も気楽に取り組めるし、子どもに対する声かけも変わるのではないでしょうか。「失敗しちゃったね」ではなく、「別のレシピを見つけちゃったんじゃない?」と言ってあげたり、「どこが違ってこうなったのか振り返ってみようか」と話し合ってみてください。
掲載されている加熱時間はあくまでも目安なので、お鍋の形状が変われば蒸発量は当然変わりますし、混ぜ方1つで違う結果になることもあります。
本書には、「おいしくできたかな」「上手にできたね」のような言葉を入れないようにしています。「こうしたらおいしいものが作れます」というスタンスではないので、「本の通りの結果にしなければいけない」と思う必要はないんです。
実験に慣れてきて、なぜその結果になったのかというメカニズムに疑問を持つようになると、まさに研究者ですね。既存の知識を学ぶだけではなく、未知のものを探究するのが研究だと思います。

露久保:「違う順番にしたらどうなるかな、新しいものが生まれちゃうかもよ?」とそのまま続けてみてください。本当に思わぬ発見があるかもしれません。実際に「タルト・タタン」(アップルパイを作ろうとしてリンゴを炒めすぎたことをきっかけに生まれたと言われる。ただし諸説あり)など、失敗から生まれた食べ物はいっぱいあるんですよ。