週刊誌報道に端を発したフジ・メディア・ホールディングス(FMH)のガバナンス問題は、傘下・フジテレビの港浩一社長と嘉納修治会長らの会見にもかかわらず、出稿企業などから批判が相次いでいる。CMは公共広告機構(ACジャパン)に差し替わり「AC祭り」の状態に。広告再開の見通しは立っていない。

「今ちょうど、4月-9月期の番組セールスを締めるタイミングなんですが、おそらくそれが総崩れ状態です。となると、予定していた新番組などの制作も危うくなります。また予算が取れないだけじゃなくて、フジテレビへの取材拒否が増えたりして、例えばロケ番組が作れなくなるということも出てきます。CM出稿とセットで売っていた番組PR案件も難しくなるので、さらに収入が減ることになるわけです」(広告代理店社員)

 また地方局への影響も出てきそうだ。

「地方の大手広告主が、フジ制作番組のスポンサーを離れる動きも報じられていますが、フジテレビ制作の番組を放送している系列局のCMにも影響が出始めています。ただでさえ、減少し続けている地方局の出稿に追い打ちをかけそうです。このままだと空いたCM枠を埋めようと、これまで控えていたマッチングアプリなどのCMがさらに拡大していくかもしれません」(同)

 つまり、単なる個別企業の判断にとどまらず、地上波テレビの広告モデル全体の崩壊につながる可能性があるということだ。

 また、今回の問題がさらに拡大した場合、広告主は単にフジテレビを避けるだけでなく、他局からの撤退や地上波テレビCM全体の見直しにつながる可能性があるだろう。

「現在、クライアントの広告に求める需要に変化がありますよね。要は、ネット広告のように即売上につながるかどうか、を重要視する傾向にあります。経済が不景気な中で、テレビCMへの出稿を見直すちょうどいい機会だと思ってる企業もあると思いますよ」(テレビ局社員)