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 “「ヨロヨロ」と生き、「ドタリ」と倒れ、誰かの世話になって生き続ける”――『百まで生きる覚悟』春日キスヨ(光文社)

 そんな「ヨロヨロ・ドタリ」期を迎えた老親と、家族はどう向き合っていくのか考えるシリーズ。

目次

・「最期まで自分が母親を看る」義妹が覚悟を決めている
・夫には絶対理解できない――負担は減るどころか、むしろ増えるだけ
・災害時ボランティアだと思え

「最期まで自分が母親を看る」義妹が覚悟を決めている

 茂木早苗さん(仮名・62)は、この年末年始に夫だけ実家に帰省すると聞かされ、複雑な思いでいる。

 夫の実家は認知症の義母と独身の義妹が暮らしていて、義妹は仕事を辞めて義母の介護に専念していた。コロナ禍に入院した義母は半年以上、面会どころか様子も一切わからない状態になり、義妹は憔悴していたという。

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 幸い、義母は回復して退院、自宅に戻ることができた。ところが、長期間入院していた義母の介護状態は大きく後退していた。義妹のことはわかっているようだが、会話らしい会話もできなくなり、ほとんど寝たきりになってしまった。

 病院ではリハビリなどは行っていなかったのだろう。夫も義妹も衝撃を受けたが、義妹は以前にも増して義母の介護に打ち込むようになった。

「義母はデイサービスには行っていますが、夜中のおむつ交換や体位変換などは、義妹が2、3時間おきにやっているようです。私より若いのに、腰も背中もすっかり曲がってしまって……」

 義妹は、入院していた義母と半年以上会えなかったことがよほど堪えたのだろう。それほどの介護状態なのに、自分が介護をすると決めているように思えた。見かねた夫や親戚が、施設に預けたほうがいいのではないかと何度も勧めたが、義妹はかたくなに首を振るばかり。最期まで自分が母親を看ると言うのだった。

「義妹が覚悟を決めているのに、強引に引き離すこともできませんでした」