株式投資を始めるには、証券会社での口座開設が必要です。その際、 一般口座か特定口座「源泉徴収あり・なし」のいずれかを選択 します。これらは株式の損益の計算や確定申告の手間に影響します。

今回は株式投資に関わる口座の違いとそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

株式投資ができる証券口座の種類とは?

株式投資ができる口座は4種類

株式投資ができる証券口座は 「一般口座」「特定口座(源泉徴収あり)」「特定口座(源泉徴収なし)」「NISA口座」の4つ で、それぞれの特徴は以下のようになります(表1)。

表1.株式投資ができる口座の種類

口座の種類 一般口座 特定口座
源泉徴収あり
特定口座
源泉徴収なし
NISA口座
税制による
分類
課税口座 非課税口座
年間取引
報告書
自分で作成 証券会社が作成 不要
確定申告 必要 不要 必要 不要
開設可能数 証券会社ごとに開設 証券会社ごとに1口座 1人1口座

「一般口座」と「特定口座」、「NISA口座」の違いとは?

一般口座と特定口座の大きな違いは、「特定口座年間取引報告書」を証券会社が作成してくれるかどうか という点です。

株式投資で利益が出た場合、 通常は自分で確定申告をしなければなりません 。その税金の計算は、株式の個別の売買を1月1日から12月31日までの期間で通算する必要があるので、年間のすべての取引を把握しておく必要があります。

特定口座を開設すると、証券会社が年間の売買損益を計算し「年間取引報告書」にまとめてくれます 。それにより、確定申告の手間を大きく省くことができます。

また、 NISA口座はそもそも利益に対して税金がかからない口座 で、一般口座や特定口座が課税口座と呼ばれるのに対し、NISA口座は非課税口座と呼ばれています。

「特定口座」の源泉徴収あり・なしとは?

特定口座には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類 があります。

源泉徴収とは、簡単にいうと本来自分で納めるべき税金を、証券会社が利益から差し引いて代わりに納めることになります。会社員の所得税も、会社が給与から差し引いて国に納めているので、それと似たようなイメージです。

つまり、 「源泉徴収あり」を選ぶと、確定申告が不要 になります。ただし、後述しますが確定申告をした方が得をするケースもあります。

「特定口座」でも確定申告が必要な場合とは?

株式投資にかかる税金

株式投資で得られる利益には、株が値上がりした時に売ることで得られる 「売却益」 と、会社が得た利益の一部を株主に還元する 「配当金」 の2種類があります。

これら2種類の利益には、それぞれ 「譲渡益課税」と「配当課税」という税金がかかります 。税率はどちらも20.315%となっています。

「特定口座」でも「源泉徴収なし」を選択している場合は確定申告が必要

特定口座では年間報告取引書を証券会社が作成してくれますが、あくまでこれは年間の売買損益を計算するものです。

特定口座でも「源泉徴収なし」を選択していれば、この年間報告取引書を元に自分で確定申告をしなければなりません。

他の口座で損が出ていれば確定申告した方が得になるかも

ある口座の株取引でもし損失を出してしまっても、別の口座で利益が出ていれば、その売却益や配当金から損失を差し引くことで、 税金を軽減 できます。これを 「損益通算」 といいます。

また、すべての口座で損益通算してもまだ損失がある場合、その 損失を翌年以降3年間の売却益や配当金から差し引く こともできます。これを 「繰越控除」 といいます。

特定口座の源泉徴収ありを選んでいても、源泉徴収される税金額はその証券会社内の取引だけで決まります。つまり、 複数の証券会社で損益通算や繰越控除を利用したい場合は、特定口座の源泉徴収ありであっても確定申告をする必要 があります。

特定口座で「源泉徴収あり」にするメリット・デメリット

特定口座(源泉徴収あり)で株取引を行うメリット・デメリットを表2にまとめます。

表2.特定口座(源泉徴収あり)のメリット・デメリット

メリット デメリット
・確定申告が不要
・確定申告を行う際も、
「年間取引報告書」により手間が省ける
・株の利益が20万円以下の場合でも
税金が源泉徴収される
・損益通算の利用時などは確定申告が必要

確定申告の手間がなくなるので、 忙しい人や細かい税金を気にしたくない人は源泉徴収あり を選ぶ方がいいでしょう。

ただし会社員などの給与所得者は、副業の利益が20万円以下なら確定申告をしなくてもいいとされています。源泉徴収ありでは利益の金額にかかわらず20.315%の税金が引かれるので、 本来申告しなくてもいい税金が引かれて損をするという見方 もできます。

特定口座で「源泉徴収なし」にするメリット・デメリット

特定口座(源泉徴収なし)で株取引を行うメリット・デメリットを表3にまとめます。

表3.特定口座(源泉徴収なし)のメリット・デメリット

メリット デメリット
・確定申告を行う際、「年間取引報告書」
により手間が省ける
・株の利益が20万円以下なら確定申告が不要
・株の利益が20万円を超えると
確定申告が必要

確定申告を自分でしなければならないのは大変ですが、 年間取引報告書があるのでその手間を大きく省ける でしょう。

投資額によってはNISAも検討してみよう

これまでご紹介してきた課税口座のほか、株式投資ができる口座には、表1でご紹介した非課税口座のNISA口座もあります。 NISA口座ではそもそも利益に対して税金がかからないため、売買損益の計算も確定申告も必要ありません。

ただし、他の口座との損益通算ができない点や、年間投資額の上限が120万円までと少額であるなどのデメリットもあります。

とは言っても、やはり非課税で投資ができるのは魅力的です。自分が行う投資額によってはNISAの利用を検討してみましょう。

「特定口座の源泉徴収あり」でも必要に応じて確定申告を

今回ご紹介したように、基本的に株式投資では特定口座の源泉徴収ありを選んでおくと、確定申告の手間を省くことができるのでおすすめです。しかし、複数の証券口座で投資を行なっている場合や、損失が出ている場合などは必要に応じて確定申告を行いましょう。

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文・松岡紀史
肩書・ライツワードFP事務所代表/ファイナンシャルプランナー
筑波大学経営・政策科学研究科でファイナンスを学ぶ。20代の時1年間滞在したオーストラリアで、収入は少ないながら楽しく暮らす現地の人の生活に感銘を受け、日本にも同様の生活スタイルを広めたいという想いから、 帰国後AFPを取得しライツワードFP事務所を設立。家計改善と生活の質の両立を目指し、無理のない節約やお金のかからない趣味の提案などを行っている。

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