◆演歌ならざる“スーパー演歌の花道”
それもそのはず。ニューシングル「純情ホトトギス」の仕掛け人(作詩・作曲)は、つんく♂。幼い頃から、祖父の影響で演歌に親しんでいたとは言え、原田は、SNSネイティブ世代。同曲のTikTok投稿では、遊び心あふれる振り(ローアングル気味の表情がとにかく色っぽい)で、若いジェネレーションにも演歌の魅力を伝えている。
「偽りのくちびる~最後の恋~」のカップリング曲として「シャ乱Q」の代表曲「シングルベッド」(1994年リリース)をカバーしたのも心憎い。やはり低音の耳障りがよく、フレージングが絶妙。カバーだからこそ、歌詞を読み込む感性も鋭い。
他のカバー曲でも「やっぱ好きやねん」(2022年リリース、1stアルバム『Good Time Music ~POPO WAVES バンド~』収録)なんて、クセ強の天才(怪人?)やしきたかじんの名曲に対するリスペクトと往年の歌謡曲の歌心をちゃんとつかんでいる。
ロック歌手が演歌歌手として成功する映画『シャ乱Qの演歌の花道』(1997年)に主演したつんく♂ならではの演歌への理解は深い。つんく♂によるプロデュースは、ド演歌ではなく、あえてポップさへ振り、演歌ならざる演歌を新しく生み出す。スター氷川きよしにも憧れる原田は、演歌界への超変化球として、“スーパー演歌の花道”を着実に歩むのだろう。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu