ただ、外国企業などが購入した米国の農地のうち、中国勢が購入したのは1%程度だ。カナダやオランダ企業などが保有する土地に比べれば、足元にも及ばない面積だ。こうした中で中国への規制を強めるのはアジア系住民の差別につながりかねないとして、法案に反対する動きも強まっている。

 米国には、マイノリティーの土地所有を妨げてきた長い歴史がある。奴隷制度が存在した時代には奴隷による土地所有は認められなかった。1900年初頭から第二次世界大戦まではアジア系米国人を標的にした外国人土地法により、日系米国人は土地や財産を没収され、収容所に送られた。

 中国の脅威を見逃すことはできないが、いたずらに脅威を煽ると米国の民主主義が崩壊する。こと土地の話になると、冷静な判断は難しくなる。