孫氏はこの地で、タービン46基を有する風力発電施設を建設する計画だが、電力供給を中国企業に頼るということに地元住民は安全保障面での危機感を募らせている。
孫氏が購入した土地の東側には米軍のラフリン空軍基地がある。空軍最大級のパイロット訓練基地として知られる。テキサス州選出のテッド・クルーズ上院議員らは、重要基地のお膝元に中国企業が土地を所有して事業をすることに強く反発している。
孫氏が、米国生まれの中国系米国人なら、ここまで反発はなかったのかもしれない。孫氏の経歴がテキサス住民の不安をかきたてた。孫氏は1962年、中国・新疆ウイグル自治区のウルムチで靴職人の息子として生まれた。中国最大の研究機関である中国社会科学院などで学んだ後、人民解放軍に入隊し1989年、大尉の立場で退官した。直後に投資会社を設立し、ウルムチにシーフードレストランやカラオケバー、ボーリング場などを経営した。
新疆ウイグル自治区では、中国当局がイスラム教徒や少数民族への弾圧を強めているが、その分、重要なポストにいる役人が頻繁にウルムチを訪れる。内陸部のウルムチでは新鮮な魚介類は珍しい。孫氏が経営するシーフードレストランには政治エリートや大物ビジネスマンが度々訪れ、孫氏はここで中国共産党との深いつながりを築いたとされる。
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