なぜ相手に対しても厳しくなるのか
周囲の評価を気にし過ぎたり、他人のものさしを重視し過ぎたりする「他者中心」の人は、否定的に自分を見てしまう「自分に厳しい人」になってしまいがちです。
しかし、他者中心的になることの問題点はそれだけではありません。
繰り返しになりますが、自分のことを否定的に見てしまうその厳しい審査の目は、自分だけではなく、得てして他者にも向けられます。そのため、気づかないうちに他者にも厳しい要求を課していきます。
自分の判断基準を外側に置いて、
「それに適した人間になるべきだ。そのために、自分が変わらなければならない」
こんなふうに信じて努力していれば、他者に対してどう思うでしょうか。
自分は苦痛に耐えて頑張っている。そんな自分の目から、他者が頑張っていないと映ったとき、どう思うでしょうか。
「自分がこんなに頑張っているんだから、他の人間も、私のように頑張るべきだ」
という気持ちになるのではないでしょうか。
「私も自分を変えようと苦痛を覚えながら耐えているんだから、あなたも私のように耐えて努力しないと承知しないわよ」
自分に厳しい人は、自分のすべきことがいっぱいあり過ぎて、すでに心が限界ギリギリの飽和状態になっています。
ですから、「他人は他人、自分は自分」「相手にも自分にも、選択の自由と責任がある」というようなことは思いつきません。
たとえ頭では理解していても、そんな気持ちにはなれず、とっさの会話でも相手を尊重するような言葉は出てきにくいでしょう。
このように、自分に厳しい人は、得てして他者に寛容になれないのです。
そして、他者との関係では、
「相手が悪い、相手が間違っている」
と考えるため、
「相手が悪いのに、どうして、私が変わらなければならないんですか」
と言いたくなるでしょう。
あるいは、
「私にも悪いところがあるのは認めます。でも、相手だって悪いのに、どうして私だけが変わらなくちゃならないんですか」
と言いたくなる人もいるでしょう。
相手も変わらないと、不公平だというわけです。
場合によっては、相手の言動がほんとうに理不尽で、「自分だけ変わらないといけないというのは不公平」ということもあるでしょう。ですが、そんな理不尽な相手に「変わる」ように求めたところで、相手が素直に従うでしょうか。
不毛な言い争いが待っているだけだとは思いませんか。
そんな問題のある人間と公平な関係を築こうと努力するよりも、自分を変えて相手と距離をとり、自分を安全な立場に置くほうがより建設的で、効果的です。
石原加受子(いしはら・かずこ)
心理カウンセラー。心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」 アドバイザー。性格改善、対人関係、親子関係などのセミナー、グループ・ワーク、カウンセリングを実施。メルマガ『楽に生きる!石原加受子の「自分中心」心理学』 を配信中。著書は累計100万部超。
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