自分に厳しくすると成長できる?
「自分に厳しくして何がいけないのか。自分に厳しくするからこそ人は成長するんだ」
と考える人がいます。
確かに、そういった面はあります。
スポーツで、厳しい練習に耐えてきたからこそ上達できたり、仕事で頑張ったからこそ大きな成果を得られたり、といったことはあるでしょう。
ですが、人の体力や気力は無限ではありません。
いくら上達したいから、成果を得たいからといって、無理をして頑張り続けていたら、そう遠くないうちに体か心のどちらか、あるいは両方を病んでしまい、かえって効率は悪化するでしょう。
どの世界でも、大成する人というのは、自分がどこまでできるのかをちゃんと見極め、そして適度に休んでいるものです。
頑張っていいのか、休んだほうがいいのか、自分の心や体と向き合い、自分自身とよく相談して決めています。
もちろん、周囲との関係や仕事の状況などで必ずしも理想どおりとはいかないでしょうが、少なくとも行動の基準を他人任せにしたりはしません。
ましてや、余計な仕事を押し付けられて断らないことが、どんな成長や利益につながるというのでしょうか。
「頑張り過ぎることのデメリット」を上回るようなメリットが、果たしてあるのでしょうか。
もしかしたら、断らないほんとうの理由は、「自分を厳しく律したいから断らない」のではなく、争いになるのを恐れて「言うのが怖くて断れない」、あるいは「その後の処遇が怖いから断れない」のかもしれません。
もう一つ、無視できないのが、自分に厳し過ぎると、自分や自分の将来に対して否定的な考えをしてしまうようになるということです。
先に、言葉には気持ちを左右する力があると述べましたが、現在のあなたの気持ちはあなたの現在の行動を左右し、現在の行動は将来を大きく左右します。
つまり、自分の頭の中で「否定的な未来」を強く意識するということは、自分でそんな将来の設計図を描いているのも同然なのです。
そろそろ、あなたも「自分に厳しくすることを求める」社会の理不尽に気づいて、「自分を厳しく扱ってしまう」人生を軌道修正する時期にきているのではないでしょうか。
石原加受子(いしはら・かずこ)
心理カウンセラー。心理相談研究所オールイズワン代表。日本カウンセリング学会会員、日本学校メンタルヘルス学会会員、日本ヒーリングリラクセーション協会元理事、厚生労働省認定「健康・生きがいづくり」 アドバイザー。性格改善、対人関係、親子関係などのセミナー、グループ・ワーク、カウンセリングを実施。メルマガ『楽に生きる!石原加受子の「自分中心」心理学』 を配信中。著書は累計100万部超。
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