日本の公的年金制度では、働き方によって、加入すべき年金制度が定められている。自営業者や無職の場合は国民年金、会社員の場合には厚生年金といった具合である。
就職や退職など、働き方が変わる場合は、加入する年金制度の切り替え手続きも必要となってくる。年金の切り替えは、手続き上の問題だけでなく、自身が加入している年金制度を正しく理解する上でも重要だろう。
働き方によって異なる日本の年金制度
あと少し厳しい寒さを耐えしのげば、新年度が訪れる。4月からの就職や転職、退職を控えているという方も多いのではないだろうか。就職や転職、退職などの際には、さまざまな事務手続きが発生するが、年金制度の切り替えもその一つである。
日本の年金制度では、働き方によって加入すべき年金制度が定められている。まずは国民年金であるが、これは国内に居住する20歳以上60歳未満の全ての人が加入することとなっている。次に厚生年金であるが、こちらは会社に勤務する人や公務員などに加入が義務付けられている。なお、公務員はかつて、厚生年金ではなく共済年金に加入することとなっていたが、2017年10月より共済年金は厚生年金に一元化されている。
他に国民年金基金や個人型確定拠出年金など、自助努力の備えという考え方に基づく任意加入の年金制度はあるものの、加入が義務付けられている年金制度は国民年金と厚生年金の二つである。これを基に、20歳以上60歳未満の国民は三つに大別されることとなる。
一つ目は自営業者や学生、無職の人など、国民年金にのみ加入する第1号被保険者である。二つ目は会社員や公務員など、厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務し、給与から天引きされる形で厚生年金を納付する第2号被保険者である。そして三つ目は第2号被保険者の配偶者で、被保険者に扶養される立場である(ただし年間収入が130万円未満でなければならない)第3号被保険者である。
働き方が変わる場合には年金の切り替えが必要になることも
働き方によって、自身の加入する年金制度が異なるため、勤務形態が変わる時には年金の切り替えが必要となることがある。
公的年金制度は対象となる人全てに加入義務がある。会社員でありながら厚生年金に加入していない、または、退職し職に就いていないが厚生年金に加入し続けるといったケースは存在しないと考えてよい。働き方と加入する年金制度を合致させるためにも国民年金と厚生年金の切り替え手続きは必ず行う必要がある。