ドラマの次回予告では「真田の狙いは我らをここに足止めすること」というセリフが聞こえてきますが、これは昌幸・信繁父子がかなりの期間、徳川秀忠率いる部隊の足止めに成功したという一連の動きを指しているのでしょう。

 秀忠の部隊は東軍における第二の本隊ともいえるもので、家康たちの隊とは別ルートで上方に向かっています。その彼らが真田家の所領のそばを通過する際、昌幸は上田城に、そして信繁は戸石城に入り、秀忠隊を挑発してみせました。それを受けて秀忠は、配下でありながらもいまいち信頼しきれない真田信幸に、信幸の弟・信繁の守る戸石城を攻撃しろと命令します。

 この時点で、秀忠は正式な家康の後継者として内定していたわけではなく、有力候補の1人にすぎませんでした。秀忠は自分が有能な人材であると家康に証明するため、関ヶ原において抜群の働きを見せねばならなかったのですが、目的地までの途中で真田家による挑発作戦にまんまと乗せられ、「足止め」されてしまったのです。ドラマでは、〈秀忠に真田昌幸の攻略を任せ、江戸に戻った家康〉とあらすじにあることから、家康が秀忠(森崎ウィンさん)に西軍についた真田昌幸(佐藤浩市さん)を攻めるよう言い渡すことになりそうですが……。

 しかし、信繁はあっさりと戸石城から退却してしまい、父・昌幸のいる上田城に移動しました。それ以降、秀忠隊と、上田城に籠城した昌幸・信繁が送り出す兵たちの小競り合いが繰り返されたのですが、秀忠隊は大軍であるにもかかわらず上田城を落とすことができず、そのまま時間だけが過ぎていったのです。