脇役が芳醇であるドラマは楽しい。思えば菊千代も久蔵も、登場時からビカビカに輝いていた。そういうやつらが仲間になっていくと考えたら、心の底からワクワクした。今回の『さよならマエストロ』を見ていて、そんなことを思い出した。
そして、そのワクワク感を凌ぐ興奮が、芦田愛菜の「美味いんかい」にあったということです。これ、すごいドラマやってると思いますよ。
先行きとしては、芦田愛菜の響ちゃんが子どものころに海外のコンテストで演奏するほどの優秀なバイオリニストであることが語られていて、いろいろあるけど音楽への情熱は失ってないことも、今回のチェロ兄の演奏に耳を傾けていたシーンで強調されている。で、晴見フィルの第1バイオリンの津田寛治のキャラが立っているので、たぶんこの人に何かあって、響ちゃんが入ることになるんだろうな。
仲違いしていたコンダクターの父とコンマスの娘が、オケの存続をかけたコンサートに向けて~という、これまた超ベタな展開。そういうのがいいんです。そういうのでいきましょう。
(文=新越谷ノリヲ)