■『七人の侍』の菊千代と久蔵のように

 父親こと夏目俊平ことマエストロが指揮を執ることになった晴見フィルはフルートとチェロに1人ずつ欠員がいて、前回のコンサートではエキストラ(客演)を呼んでいたそうです。

 この晴見フィルは3カ月後には廃団が決まっていて、立派なホールも閉館して海外企業に売り飛ばされることになってる。でも、とりあえずまだやるからには欠員を埋めようというのが、今回の物語。

 フルートは実力を認められつつも、素行不良でプロオケをクビになった何やらワケアリな感じの美人。チェロは若くしてCDデビューを飾るも業界に絶望して音楽から離れ、実家のガラス屋で働くワイルド系の兄ちゃん。第1話でも軽く伏線が張られていましたが、この2人を晴見フィルに召喚すべくマエストロが奔走することになります。

 フルートはわりとすんなり加入が決まりますが、チェロの兄ちゃんは、なかなか難儀そう。ガラス屋の親方である父親は音楽にまったく理解がないし、音楽がきっかけで母親が出て行ってしまったという過去もある。

 でも、チェロは好きで、仕事の合間に1人でバッハを弾いている。もう誰かに聞かせたり、誰かと一緒に演奏することは懲り懲りだと思っている。