■一方で軽薄で軽率な問題意識の発露
「俺なんて、不適切なことしか言わないぜ?」とオガワは言います。
しかし、実際に不適切だったのはバスの中でタバコを吸ったり、喫茶店で他人が飲んでるビールを勝手に奪ったりしていた第1話だけでした。今回も昭和に戻って娘に「ブス」とか言ってましたが、もう家庭内だけなんですね。不適切発言を連発して社会をかき回さなきゃいけなかったはずの令和でのオガワは、むしろ平穏かつ事なかれ主義になりつつある。偏屈な脚本家に媚を売って取り入ったり、クイズ番組の収録で自分がコケにされてもヘラヘラしてるし、暴れ出した娘をなだめるし、まったく不適切ではなくなっている。
その一方で、令和の女性である渚ちゃんとドラマプロデューサー(ファーストサマーウィカ)がオワコン化した人気脚本家を揶揄するくだりは醜悪でした。
過去作の焼き直しや『ノッティングヒルの恋人』の丸パクリしかできないくらい才能が枯れたことをバカにするくらいはいいんですが、その脚本家が環境問題に傾倒して沖縄に移住したことや、19歳下のモデルと結婚したこと、1年半で離婚したこと、最近は19歳下のインフルエンサーと公私にわたって仲良くしていることなんかを、まるで「不適切」であるかのように小バカにするシーンです。
別によくね? と思うんですよ。売れっ子作家が沖縄に隠居して好きな女と暮らしてて何が悪いのよ。令和の多様性って、そういう個人の人生は揶揄の対象としていいわけですか?