■楽しくて切なくて

 オガワが令和で出会ったシングルマザー・渚ちゃん(仲里依紗)、実はオガワの孫だったわけですが、それが判明して以降、明らかに渚ちゃんのオガワに対するセリフ回しが変化してるんですよね。なんだかいい感じの年上男性に対する感じから、家族に対する感じになっている。自分と娘が震災で死ぬことを知っているのに気丈に振る舞うオガワを心配そうに見つめながら「ねえ、大丈夫?」って聞くシーンとか、こういうところ細やかに作ってるなと思います。

 令和ではあくまで元気いっぱいのオガワですが、昭和に戻って娘に再会すると、やはり感情的になってしまいます。この娘が6年後に死ぬのか、震災で。その思いは、察するに余りあるところです。

「どうなるかわかってる人生なんて、やる意味あんのかよ」

 タイムスリップをした者は、過去や未来を変えてはいけない。タイムパラドックスが起こってしまうから。それは鉄則です。その鉄則を破る者が現れたら、ドラマが成立しなくなってしまう。

 でも私たち視聴者はもう、オガワと純子に死んでほしくないと思っています。そんなのは悲しすぎるし、切なすぎる。そう思わされる程度にはこの人たちを見ているのは楽しいし、好きになっている。